ショートゲームの達人として有名な伊澤秀憲プロに聞いたところ、同じように濡れた砂でも、バンカーの砂の量によってボールの飛び方が変わってしまうので、まずは砂の状態をチェックすることが重要だとのこと。
「砂質や濡れ方によるので一概には言えませんが、基本的には砂の量が多いバンカーは濡れていると砂の重さでボールが飛ばなくなり、反対に砂が少ないとバウンスが砂に入っていかずに弾かれて普段より飛んでしまうんです。“多い”か“少ない”かは経験と足裏の感触で判断するしかないのですが、まずはこの基本を知って見極めることが大事。ただ、一般的なゴルフ場では跳ねて飛ぶケースのほうが多いと思うので、その対策は身につけておいて損はありませんよ」
冬砂攻略法① 砂が少ないときは、クローズドスタンスにすること
砂が多いバンカーの場合は、飛ばなくなるぶん単純に番手を上げ、スウィングは変えないのが一番シンプルだという。
一方で砂が少ないバンカーでバウンスを弾かれずに打つためには、普段よりもヘッドを鋭角に入れていく必要があるという。
「砂が濡れて締まっていると、硬い砂に負けないようにヘッドをしっかり潜らせないとダメ。ただしアマチュアの方はあまりスウィングを意識して打ち方・振り方を変えることはおすすめしません。いちばん簡単なのは"右を向く"ことです。クローズドスタンスにしたり、単純にターゲットを右に取るだけでもOK。これだけで軌道は勝手に鋭角になるので、普段よりもヘッドが深く入りやすくなります」
ポイントは手首の角度をキープして手元を低く通すイメージ。これは本来砂が濡れている場合に限らないことだが、スウィング中にヘッドが垂れてしまわないよう普段以上に注意しよう。
冬砂攻略法② 球を上げたいときは、極端に左足体重で構える
砂の少ないバンカーでは、濡れていると飛んでしまうぶん球の高さが出ない。
しかしアゴが近いとかピンが手前とか、球を上げたい状況はある。そんなときはどうすればいいのか。
「球を上げたいときほど、上げにいってはいけないんです。アッパーな動きが少しでも入ると、バウンスはより跳ねやすくなって絶対に高さは出ません。球を上げたい、飛ばしたくないなら、普段以上にヘッドが鋭角に入る状態を作ることが大事なんです」
ポイントは、極端な左足体重で左肩を下げて構え、ヘッドを鋭角に打ち込むこと。
「砂を薄く取ろうとか考えてはダメ。ヘッドが深く入れば、砂がたくさん取れて球は飛びません。ボールはロフトが上げてくれますからそれを信じて思い切って打ち込んでください。あとは、“寄せたい”と欲張らないこと。多少オーバーしてもOKと割り切って打ちましょう」
冬砂攻略法③ 砂の"状況が悪い"ときは、「超ハンドダウン」で打とう
最後に、どんなに砂のない状況からでも高い球が打てるという名手・伊澤プロならではの“必殺技”を教わった。「フェースを開いて超ハンドダウンに構え、そのままネック部分のバックフェース側のソールを接地させてボールを拾うワザがあるんです。これならベアグラウンドからでも球を上げられるので、大雨でバンカーの砂が流れてしまっているような状況でも球を上げられます。超高難度ではありますが、機会があれば練習してみてください!」
「クローズドスタンス」「左足体重」「ハンドダウン」、冬のバンカー攻略は、この3つのポイントだけは押さえておこう。
※伊澤プロから大事なことを最後にもう一つ!
※週刊ゴルフダイジェスト2022年12月27日号「冬バンカーの"締まった砂"からナイスアウト」より一部抜粋
撮影/有原裕晶 協力/ゴルフ5カントリーオークビレッジ