大槻智春のデビュー当時から削り続ける
匠の技が光るハンドメイド
長年トッププロのヘッドを研磨してきた職人
元々CNC加工を依頼していた会社の工場に間借りしているアクシスゴルフ。代表の大越さんは多くのプロのクラブを削ってきた職人で、大槻智春もデビュー時から担当。大槻は、今季のサンドセーブ率5位とウェッジ巧者だが、彼とテストを重ねながら生まれたのが「Z1ウェッジ」。小林伸太郎も同じモデルを使用して今季ツアー初優勝を飾った。
他のプロからも「使ってみたい」と言われて渡すこともあるが、「大槻プロも小林プロもウェッジがメチャクチャ上手いから扱える。ローバウンスだし、他の選手に渡すときに手を加えるわけではないので、実際に使うと面食らうと思います(笑)」(大越さん)
要望があればその選手に合わせた調整を行うが、同じことを一般のゴルファーにもやっているという。「どんなゴルファーにも、『これなら使いたい』と思えるクラブは必ずある。だから僕は我を出さずに、できるだけ要望に応えたいんです」
市販品ではない、個人に合わせた世界にたったひとつのクラブを今日も削り続けている。
「僕の場合、研磨機さえあれば仕事ができるんです」
ウェッジだけでなく、ドライバーを作るときも自らの頭で考え、削り出し、形を整えていく。それを3Dスキャンして型を作り製品化。大きな工場や施設は必要なく、腕と研磨機だけでクラブを作り上げる、昔ながらの職人だ
可能な限り要望を聞き、世界に1本を作りあげる
完成品としても販売するが、基本的には個々の要望を聞いてからカスタマイズする。手研磨でウェッジを削り上げるのは時間がかかるが、一度使えば、自分の手足のように扱えると、リピート率がかなり高いという
プロが選んだガレージブランド
群馬発グラインドスタジオ
「使い込むほどに手に馴染んでくる」-青木瀬令奈-
ジュニア時代からグラインドスタジオのウェッジを使用する青木。アドレス時の「顔」と「座りのよさ」にこだわり、グースネックとフラットなソールが青木仕様。
信頼からとくに要望は少ないというが、「自分もゴルファーなので、その人のプレーを見たり、話したりしたら、何となく欲しいもののイメージが湧く」とはグラインドスタジオを主宰する都丸和寛さん。観察眼も匠ならでは。
自分が欲しいクラブを作る
都丸和寛さん
フォーティーンで研磨技術を学び、03年に独立。プロアマ問わず多くの支持を集め、その人に最適な一本を提供し続けている
プロが選んだガレージブランド
群馬発ジューシー
「個体差がないのでスペアを使っても同じ感覚で打てる」‐堀琴音-
今季もジューシーのウェッジで戦った堀。2年前にこのウェッジに替えてから、初優勝を含む2勝。使用するのは市販品と同じBソール。3D CADで細部を作り込み、鍛造した後、ひとつずつヘッド全体をCNC制御で削り出し、細部を繊細に研磨して作り上げられる。「個体差がないので、スペアを使ってもまったく同じ感覚で打てる」と堀は信頼を寄せる。
プロが使うクラブをそのままアマチュアにも
松吉宗之さん
フォーティーンで故・竹林隆光氏のもとクラブ設計に従事。2018年に独立。大手メーカーの質はそのままに、個体差をなくすことを重視
プロが選んだガレージブランド
東京発アキラプロダクツ
「女子ツアーで最初に使った彼女のOKがあって商品化」
開発者・中村浩二郎さん
サイ・ペイインが使用するのは堀江社長が監修する「Hシリーズ」の9代目。抜けのよさにこだわったソール形状で、やや小ぶりのシェイプで薄めのブレードが特徴。ルールギリギリの溝を掘るため、通常の半分の周期で溝を掘るドリル刃を交換する。試作品をサイが試し、OKが出たことで商品化されたといい、まさにプロ仕様のモデルだ。
岩田寛はH-852プロトタイプ
2016年発売モデルで、トウとヒール部分を一段下げることで通常ショット時の抵抗を軽減。岩田は8月のセガサミーカップで使用して優勝
プロが選んだガレージブランド
姫路発BUCHI
名匠が生み出すティアドロップ
「アドレスしやすいだけではなく、すっきりしつつも力強さが必要」と、全体的に丸みを帯びた温かみが感じられる形状。植竹の好みはティアドロップ型。以前はバウンス角12度だったが、技術が上がるうちに、8度、6度とと変化してきた。「構えたときの顔のよさが気に入っている」と植竹が絶賛するように、ピンチでもやさしく安心感を与えてくれる。
丸くて柔らかな温かな流線形
田淵正敏さん
多くのゴルファーの意見に耳を傾けてきた匠。「光のライン」にこだわった丸みのある美しいトップラインが特徴的
週刊ゴルフダイジェスト2023年1月3日号より(PHOTO/Akira Kato、Takanori Miki、Hiroyuki Okazawa、Tadashi Anezaki、Shinji Osawa、Hiroaki Arihara)