2022年は4大メジャーすべてを20代の選手が制覇した初めての年となった。5月におこなわれた全米プロゴルフ選手権で優勝したジャスティン・トーマスが4人のメジャーチャンピオンの中では最年長の29歳。若い若いと思っていたトーマス、ジョーダン・スピース世代が2023年には30代になってしまう。だが今回の話は勝ったトーマスではなく71ホール目までトーナメントをリードしながら最終ホールで崩れ去ったミト・ペレイラ。22年の悲劇王のストーリーとは?

プロゴルファーNo.1決定戦・全米プロの舞台はオクラホマ州のサザンヒルズCC。南米チリの首都サンティアゴ出身のペレイラは絶好調だった。初日から60台を連発し3日目を終えて単独トップ。緊張がピークに達した最終日も17番まではなんとか持ちこたえ1打リードで最終ホールを迎えていた。

18番のティーに立ったとき「勝った」と思った。17番でバーディパットをわずかのところで外したがネガティブな考えは頭の中から排除した。あと1ホールだけ耐えれば初めて出場する全米プロでトロフィーを掲げることができる。たくさんのバンカーが散りばめられた右ドッグレッグのホールでペレイラは低いライナー性のティーショットを打った。

画像: 全米プロゴルフ選手権最終日、18番で痛恨のティーショットを打ちダブルボギー。メージャー優勝のチャンスを逃してしまったペレイラ(写真は2022年 全米プロ選手権 撮影/Blue Sky Photos)

全米プロゴルフ選手権最終日、18番で痛恨のティーショットを打ちダブルボギー。メージャー優勝のチャンスを逃してしまったペレイラ(写真は2022年 全米プロ選手権 撮影/Blue Sky Photos)

「クリークなんてまるで気にしなかった」。しかし打球は無情にも右サイドのクリークに捕まった。冷静を装ったが頭の中はパニック。結局そのホールでダブルボギーを叩きトーマスとウィル・ザラトリスとのプレーオフに1打足りず3位タイ。目の前にあった特大のワナメーカートロフィーは夢と消えた。

「プレーオフにも残れず勝てなかったんだから悔しい。それでも(19年の全米オープン以来2度目の)メジャーで優勝争いしたことは紛れもない事実。次にチャンスが来たら今度はもっと上手くやる」と傷心のなかインタビューに答えたペレイラ。

ここ20年のメジャーで最終ホールのダブルボギーで戴冠を逃したのはフィル・ミケルソン、コリン・モンゴメリーに続き3人目だった。

しかしペレイラの悲劇はこれが終わりではない。11月の日本ツアー、ダンロップフェニックスでも最終日最終組を回り6アンダー65をマークしながら、身長差30センチ、飛距離も自分の方が20~30ヤード先に行くのに比嘉一貴に優勝を奪われ2位に終わった。

イーグルなら優勝のチャンスもあった最終18番ではティーショットを曲げトラブル続きでパーをセーブするのがやっと。「リードしている人間がミスのないプレーをしていれば相手が勝手に崩れてくれる」と比嘉がいう通りの展開でペレイラ優勝の夢は打ち砕かれた。。

それでも22年はペレイラにとってPGAツアーのルーキーイヤー。まだ勝っていないが敗戦を通じて多くを学んだ悲劇王が心の底から笑顔になる日も近い……?

画像: 日本では飛距離差約30ヤード、体格差もこれだけある比嘉一貴に逆転負け。しかし、飛距離の魅力から日本での知名度はかなり上がってきている(写真は2022年ダンロップフェニックス 撮影/有原裕晶)

日本では飛距離差約30ヤード、体格差もこれだけある比嘉一貴に逆転負け。しかし、飛距離の魅力から日本での知名度はかなり上がってきている(写真は2022年ダンロップフェニックス 撮影/有原裕晶)

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