2023年モデルを一足早く発表したタイトリスト、ダンロップ、ピンゴルフ。いずれも3機種をラインナップ。一番飛ぶのはどれなのか? クラブ設計家・松尾好員氏の計測データと、ゴルフデータアナリストの第一人者・小島慶太プロの試打インプレッションで各モデルを比較試打。
画像1: 【注目3ブランド・ドライバーガチンコ試打】ひと足早く出揃った2023モデル。タイトリストTSR・スリクソンZX Mk II・ピンG430、やさしく飛ばせるのは?

試打・解説
小島慶太プロ(ゴルフデータアナリスト)
アジア人初のトラックマンマスターやTPIレベル3など数多くの資格を持つツアープロ。千葉県の稲毛海岸の『ゴルフアップ』主宰

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計測・解説
松尾好員(クラブ設計家)
往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰。週刊GD誌『ヘッドデータは嘘つかない』連載中

前モデルと何が違うのか?
直進性が高まり、弾道安定性アップ。明らかに進化(小島慶太プロ)

3シリーズとも2年ぶりのモデルチェンジ。それぞれ3モデルをラインナップ。ヘッドデータと試打結果で4つのカテゴリーに分類することができた。

中弾道、フェード系が打ちやすい重心位置
「ここの3シリーズはいわゆるツアーモデル。私の経験上、アマチュアモデルの開発と違い、トッププロの意見が色濃く反映されます」と9本すべてを計測したクラブ設計家の松尾好員氏。

「いま最も技術レベルの高いプロが競い合っているのがPGAツアー。そのフィールドでは「中弾道・フェード・低スピン」で攻めるプロが多いのです。その特性のドライバーが増え、その傾向は加速していくと考えています。9モデルのうちタイトリストTSR4を除く8モデルはネック軸周り慣性モーメントが大きいためヘッドローテーションが緩やかでTSR4でさえもスイートスポット位置がトウ側にあるためギア効果が働き、どのモデルもフェード系弾道が打ちやすくなっています」と言う。

3モデルの前作→新作を見る

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シャローバック形状からハイバック形状に
ZXシリーズはヘッドの後方が低かったがZX MkⅡはヘッド後方が高く、適度なスピンが入るように改良。その影響で、低スピンを好むゴルファー用に前作にないロースピンモデルのLSを投入。

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ヘッド形状はそのままに操作性がアップ
ヘッドは横幅が広くやや三角形に見える。G410・G425から継承される形状。G425で大きくしすぎた慣性モーメントを少し戻し、操作性を向上させたG430。

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シャローバックになり低重心&低スピン化
前作TSiシリーズよりもTSRシリーズは全モデルでヘッドの横幅が狭くなり、重心の深度が浅くなっている。すべてのモデルで後方が低いシャローバック形状で低重心で低スピン化が進んでいる。

試打したデータアナリストの小島慶太プロは「標準モデルといえるスリクソンZX5MkⅡ・タイトTSR2・ピンG430MAXを筆頭に大慣性モーメントで直進性が高いヘッドばかり。どのモデルを打っても基本は真っすぐ。スピンを抑えたスリクソンZX5MkⅡLS・タイトTSR4・ピンG430 LST。上級者向けに操作性を高めたスリクソンZX7 MkⅡとタイトTSR3。ドローバイアスでつかまりをよくし、真っすぐ飛ばせるようにしたのがピンG430SFT」と言う。

それらを踏まえて、シリーズ別に前モデルから、どのように進化しているのかを見ていこう。

ガチンコ試打「大慣性モーメント」対決
"標準モデル"は安定性が高く、真っすぐ飛ぶ
飛距離だけなら「TSR2」!

画像: 「打ち出しが高くスピンも適度に入り高弾道!」小島プロ

「打ち出しが高くスピンも適度に入り高弾道!」小島プロ

ツアーモデルだがオートマチックに打てる
"標準モデル"について松尾氏は、「タイトTSR2はTSi2に比べて、またG430 MAXはG425 MA』より重心深度が浅くなっています。前作に比べてヘッド慣性モーメントがやや小さくなっていますが、どちらもシリーズのなかでは最大の慣性モーメント。前作よりも重心距離が長く、ヘッドのネック軸周り慣性モーメントも大きいのでヘッドの返りが緩やか。つまり、どのモデルもフェードが打ちやすい設計。なかでもスリクソンZX5 MkⅡは前作のZX5よりもヘッドの重心深度がかなり深く、重心位置が高いのでスピンが入りやすく、弾道が安定しやすい。またピンG430MAXとZX5 Mk Ⅱはスイートスポット位置が高い。フェース中央に当たった場合、ギア効果でスピンが入りやすく高弾道になるとと言えます。逆にタイトTSR2はやや低重心。低スピンになる有効打点が広く強い中弾道が打ちやすいでしょう」と分析。

画像: ガチンコ試打「大慣性モーメント」対決 "標準モデル"は安定性が高く、真っすぐ飛ぶ 飛距離だけなら「TSR2」!

 実際に試打した小島プロは、「この3モデルは打ち出し角が高く、適正スピンが入りやすいので高弾道の球が打ちやすい。ただし、大慣性モーメントのヘッドは、ヘッドが動きにくく、ブレにくいのでミスヒットに強いのですが、実は扱うのが難しい。というのも、その場にとどまろうとする力=慣性モーメントなので、スクエアでインパクトを迎えると真っすぐの強弾道が打てますが、逆にフェース面が向いている方向に強く打ち出されるとも言えます。とはいえ、ミスには強いので、ある程度の許容性があり、『安定性を求める人』にオススメのカテゴリーです」と言う。

ガチンコ試打「ロースピン対決」
個性の違う低スピンモデル
操作性の「TSR4」・安定の「ZX5 MkⅡLS」・つかまりの「G430 LST」

低スピン、中弾道の強い球が打ちやすい

「この3モデルは低重心率が最も小さく、重心深度が最も浅い。重心深度を浅くするにはヘッドを面長にすること、ウェイトの場所をフェースに近づける方法があります。TSR4とZX5MkⅡLSは見てのとおりウェイトをフェース寄りに配し重心深度を浅くしています。G430 LSTはヘッド体積が440ccと小さく、重心がフェース寄りです。インパクトロフトが小さいほど低スピンになるため、ロフト表示よりもリアルロフトが立っています。ロフト9度のTSR4のリアルロフトは8.4度。10.5度のZX5 MkⅡ LSは9.8度。10.5度のG430 LSTは10.2度。すべてリアルロフトが立っていました」(松尾氏)

画像: ガチンコ試打「ロースピン対決」 個性の違う低スピンモデル 操作性の「TSR4」・安定の「ZX5 MkⅡLS」・つかまりの「G430 LST」

「打っても3モデルとも各シリーズのなかで一番低スピン。打ち出し角も抑えられ、中弾道の強い球でキャリーが出るだけでなく、ランも稼げるヘッドです。数多くのドライバーの試打データを見てきましたが、アマチュアはロフトが寝てインパクトを迎えるケースが多い。そうなるとインパクトロフトが大きくなりスピン量が多くなってしまう。スピン量の多いゴルファーがこのロースピンモデルを使うと、スピンが抑えられて飛距離を伸ばせるでしょう」(小島プロ)

ガチンコ試打「タイト vs スリクソン」操作系モデル対決
どちらも弾道調整機能付き!
左に行かない「TSR3」・右に行かない「ZX7 MkⅡ」

大慣性モーメントなのに操作しやすいヘッド
「ヘッドサイズと慣性モーメントは比例し、大きいほうがミスに強くオートマチック。その特性を生かしたのが‟標準モデル”。ミスに強い反面、操作性はそれほど高くないが、この2モデル(タイトTSR3&ZX7 MkⅡ)は大きなヘッドをキープしながらも操作性がある。ある程度、自分でフェースの向きをコントロールしたい人なら標準モデルより、こちらがオススメ」(小島プロ)。

画像: ガチンコ試打「タイト vs スリクソン」操作系モデル対決 どちらも弾道調整機能付き! 左に行かない「TSR3」・右に行かない「ZX7 MkⅡ」

今回唯一のドローバイアスモデル
球がつかまらない人上がらない人はコレ!「ピン G430 SFT」

画像6: 【注目3ブランド・ドライバーガチンコ試打】ひと足早く出揃った2023モデル。タイトリストTSR・スリクソンZX Mk II・ピンG430、やさしく飛ばせるのは?

「今回唯一のドローバイアスは軽量でスウィングウェイトも小さく、HSがそれほど速くない人でも振りやすいピンG430SFTです」(松尾氏)

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ヒールに重さを感じる
「他の8モデルと比べるとフェースが左を向いていますが嫌な感じはしません。ヒールに重量があり、フェースターンしやすいのでつかまります」(小島プロ)

画像8: 【注目3ブランド・ドライバーガチンコ試打】ひと足早く出揃った2023モデル。タイトリストTSR・スリクソンZX Mk II・ピンG430、やさしく飛ばせるのは?

2023年週刊ゴルダイジェスト1月10・17日超大号より(PHOTO/Takanori Miki、Akira Kato、THANKS/上総モナークCC)

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