22年も日米を股にかけてツアーを戦ってきた小平智。ツアー事情に詳しい佐藤信人プロが、小平智のすごさを語る。

常に前向きでエネルギッシュで、本当にゴルフが好きなんだなと、いつも頭が下がる思いで見ているのが(小平)智です。仲のいい後輩の大堀裕次郎にして、〝体力オバケ”と言わしめるほど、毎年日本とアメリカを行き来するタフなスケジュールを組んでいます。

 PGAツアーは昨年5シーズン目を迎え、22年1月のソニーオープンから17試合に出場。PGAに出られない週には、下部のコーンフェリーツアーにも何試合か出ていました。入れ替え戦は1試合目が11位タイでしたが、2、3戦目と予選落ちを喫し、残念ながら満足いく結果は得られませんでした。

 ここからの素早い立ち直りが智らしいところです。入れ替え戦から1週休むと、9月のANAオープンから日本ツアーに参戦します。10月のZOZOチャンピオンシップも含めて日本で12週連続で戦い、ダンロップフェニックスで4位タイ、カシオワールドで5位と優勝争いに顔を出し、最終戦の日本シリーズJTカップにも出場、最終日をトップで迎え、最後まで大会を盛り上げました。

 22年、智の出場試合は実に33試合。アメリカで転戦するだけでも大変なのに、国もツアーも飛び越えての33試合はキャリアのなかで一番多い。トップクラスの選手は「ゴルフをずっと好きでい続けられる能力が高い」と思っていますが、普通は嫌いにならないために休養を取ったり、怪我して強制的に休むことでまたゴルフがしたいと思うようになったりする。智のように目立った怪我もせず、海外と国内とを股にかけながら試合に出続けることは本当にすごい。

地元で行われた最終戦の会場(東京よみうりCC)には、酸素吸入器をつけて応援する父・健一さんの姿も。レッスンプロで師匠でもある父親に優勝を見せたい智の思いは、最後の最後まで諦めないプレーに十分に表れていた気がします。SNSでは父親をはじめ、キャディやマネジャーなど「周りのスタッフのために戦う」といったニュアンスの投稿も多く、彼の人柄と熱さが伝わってきます。

18年のヘリテージで優勝以降、苦しいシーズンが続いてきました。松山(英樹)くんと比較されることも多いのですが、智は智なりにPGAに定着、自分なりのポジションを勝ち取ったとボクは感じています。入れ替え戦こそ失敗しましたが、126位から150 位に与えられる準シードは確保しています。また昨年は予選会から全米オープンにも出場、5年ぶりにメジャーで戦ったことも、いい刺激になったようです。

 日本の若手選手への影響も計り知れない存在です。その精度の高いショットもさることながらPGAツアーで戦う選手としての生の情報、何よりゴルフに向き合う姿勢を背中で見せてくれています。SNSの発信を見てもいつもポジティブな智だけに、気持ちは1 月のソニーオープンに切り替えているはず。5シーズンぶりのPGAでの優勝も夢ではありませんし、125位以内のシード権を獲得して、また秋に日本の若手に刺激を与えてほしいですね。

画像: 「パワーゲーム化が著しいPGAのなかでは飛距離は下のほう。それでもSGのティーショット部門もアイアン部門もほぼ毎年平均以上にランクされるのはさすがです」by佐藤信人(撮影/Blue Sky Photos)

「パワーゲーム化が著しいPGAのなかでは飛距離は下のほう。それでもSGのティーショット部門もアイアン部門もほぼ毎年平均以上にランクされるのはさすがです」by佐藤信人(撮影/Blue Sky Photos)

※週刊ゴルフダイジェスト2022年1月3日号「うの目 たかの目 さとうの目」より

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