みんなのゴルフダイジェスト編集部員でプロゴルファーの中村修です。ここ数年の年明けは、テーラーメイドとキャロウェイ2社の新モデルが発表される流れになっていますが、2023年の一発目はピンから新モデルが発表となりました。
昨年、日本で先行して発表され蝉川泰果が投入して話題になった「G430」シリーズのドライバーですが、今回発表されたのは同モデルの派生モデル「G430HL」です。HLはハイローンチ、つまり高弾道モデルで、その重量は274グラムとかなり軽量なモデルに仕上がっています。
「G430」ドライバーは、高慣性モーメントで寛容性の高い「MAX」、ドローバイアスの「SFT」、ロースピンの「LST」の3モデルに3種類の純正シャフトを組み合わせることでほとんどのゴルファーにマッチするモデルを選ぶことができるとしていました。
ヘッドスピードの速いゴルファーにとっては、高慣性モーメントのヘッドは打点のズレに強いことで、弾道のブレを防ぎながら飛距離も確保してくれます。しかし、特にヘッドスピードの遅いゴルファーにとっては、ピンの高慣性モーメントのドライバーは、そもそもヘッド重量が重くて振りにくいというデメリットになっていたのも事実。
そこで「G430」ではヘッド重量を軽く設計し、その分の余剰重量を可変ウェートに置き換えていました。そのため今回発表された「G430HL」のMAXとSFTの2モデルは、G430 のそれとまったく同じヘッドを採用しているといいます。
「G430HL」は高慣性モーメントのヘッドの特徴を残しながら、「G430」の3モデルよりも軽い可変ウェートを装着。そして軽量のシャフトとグリップを組み合わせ、総重量274グラム(スピーダーNX45装着モデル)という、ゼクシオの独壇場だったカテゴリーに参入してきました。
ヘッドスピードの目安は38m/sというので、ターゲットとなるゴルファーは年齢を重ねたシニアゴルファーや女性。45と35の2種類あるシャフトのうち、軽い35を選ぶと265グラムとかなり軽量になるのでヘッドスピード38m/s以下ののゴルファーにとって新たな選択肢を提供することになるでしょう。ヘッドスピード38m/sで試打したトラックマンのデータはこちら。
打ち出し角14.1度、スピン量は想定値ではあるものの約3,000rpmとやや多め。これは、ある程度スピン量を確保することでキャリーを伸ばす狙いが表れています。ヘッドスピードに対する初速の割合を表すスマッシュファクターも1.46と高く、総飛距離212ヤードと飛距離性能の高さを感じました。
長さ46インチの純正フジクラスピーダーNX45と35に持たせた特性も相まって、球をつかまえて上げてくれることも追記しておきます。
同時に発表されたFWにもMAXとSFTが設定されていますが、どちらもカーボンクラウンを採用し前作よりも低重心でボールの上がりやすさを求めたといいます。実際に打ってみても軽量で振り抜きやすくオートマチックにボールを上げてくれる仕上がりでした。
MAXは3(15度)・5(18度)・7(21度)・9番(24度)まで、SFTは3(16度)・5(19度)・7(22度)とロフトの違う2モデルをラインナップ。
UTもカーボンクラウンを採用し、3(19度)、4(22度)、5(26度)、6(30度)、7(34度)までをラインナップ。ドライバーのヘッドスピード38m/sを想定してロフト34度の7UTを打ってみましたが、軽く振ってキャリー120~130ヤード、最高到達点30ヤードの高弾道が打てたのには驚きました。
ゼクシオやステルスグローレなどの280グラム前後の軽量クラブのマーケットに参入して来た「G430HL」は、そのカテゴリーでも支持を得られるのでしょうか。市場の反応が楽しみです。