「実直で物静か。僕好みの選手です」と佐藤信人プロが語るカナダ人選手、スヴェンソン。その経歴、ゴルフについて佐藤プロが教えてくれた。

2022年11月のRSMクラシックで、念願の初優勝を挙げたアダム・スヴェンソン。カナダ国籍の28歳。PGAツアーの新シーズンは今のところツアー2勝目、3勝目を挙げる30代の選手が多いのですが、初の「初優勝選手」となりました。僕がイメージするカナダ人選手の例にもれず、その印象は実直、物静か。早くからカナダ代表に選ばれ、ジュニア時代から日の当たる場所を歩んできました。10年、トヨタ世界ジュニアワールドカップで来日。カナダチームの団体戦3位の原動力になり、翌月には16歳で世界ジュニアを制し、バリー大時代の14年には軽井沢開催の世界アマで、カナダをアメリカに次ぐ団体2位に導いています。フロリダのバリー大のカテゴリーはディビジョン2。これだけの選手が、ディビジョン1のいわゆる名門大に進まなかったのは不思議ですが、在籍約3年のうち9勝したトップ選手でした。15年にプロ転向、Qスクールをトップ通過する非凡さを見せつけました。16年から3シーズンは、2部である当時のウェブドットコムツアーが主戦場。3シーズン目にようやく初優勝を果たします。翌19年にPGAツアーに昇格するも、厚い壁に跳ね返され入れ替え戦も失敗、再び2部ツアーに舞い戻ります。しかし、このタイミングでスヴェンソンは覚醒します。コロナ禍の影響で、考える時間を与えられたこともあったのでしょう。「僕はこれまで努力してこなかった。これから先はゴルフに全身全霊をかける」と断酒を決意。毎朝6時に起床、毎日ゴルフ場で練習する生活で、見事生まれ変わりました。

もともとショットは天才的で、ダメだった19年もショットのスタッツはよかったんです。大きな課題はパッティング。そこでJ・トーマスなどのコーチでもあるジョン・グラハムに指導を仰ぎます。またパフォーマンスコーチには、テコンドーの元世界チャンピオンを据えるなどユニークな取り組み。どんな指導があったかはわかりませんが、とにかく「いいと思われるものはすべて吸収しよう」という思いの表れなのでしょう。

今回の初優勝についても、「すべてを犠牲にしてハードワークでゴルフに取り組んだ成果」とコメント。実際、ガールフレンドに会えない寂しい思いを自分に課してきたそうです。その彼女というのはギャビー・パウエルさんといって、ドラコン競技に出るゴルファーにして、モデルもしているような、どちらかといえば派手な女性で、インスタグラムのフォロワーは13万人。地味なスヴェンソンにはよい”相棒”なのでしょう。今回の優勝で、24年にカナダで開催するプレジデンツカップの候補に名乗りを上げました。以前ジュニア時代の一番の思い出を「日本に行ったとき。違う文化やコースを見ることができて楽しかった」と答えていますし、現在のPGAサイトのプロフィールに一番好きな食べ物は「寿司とピザ」とありますから、きっと親日家のはず。今後の活躍に期待しましょう。

画像: 「オーソドックスな美しいスウィング。それが非常にナチュラルなところが見ていて気持ち良い。構えて、1回か2回ターゲットを見たら、さっとテンポよくスウィング。歯切れの良いプレーヤーです」by佐藤信人(Photo/Getty Images)

「オーソドックスな美しいスウィング。それが非常にナチュラルなところが見ていて気持ち良い。構えて、1回か2回ターゲットを見たら、さっとテンポよくスウィング。歯切れの良いプレーヤーです」by佐藤信人(Photo/Getty Images)

※週刊ゴルフダイジェスト2022年1月10・17日合併号「うの目 たかの目 さとうの目」より

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