95年ぶりにアマチュアで日本オープンを勝った蟬川泰果が使用する『G430 LST』ドライバーを紹介する。『G430』シリーズ内で、カーボンクラウンはこの『G430 LST』のみ。軽量化とともに、余剰重量を最適な箇所に配置した。
早速クラブとヘッドを計測していく。試打・計測用クラブ、および計測用ヘッドはロフト角10.5度、シャフトはメーカー純正の『ALTA J CB BLACK(フレックスS)』だ。クラブの長さは45.25インチで、クラブ重量も308.1gとどちらも標準的だが、スウィングウェイトがD2.7とやや大きいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが294万g・㎠と大きくなっている。この数値であればドライバーのヘッドスピードが47m/s くらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計と言えるだろう。ちなみに、兄弟モデルの『G430 MAX』のクラブ全体慣性モーメントは292 万g・㎠なので、『G430 LST』のほうが振りにくく、よりパワーが求められる。
兄弟モデルである『MAX』や『SFT』と全体的には似た雰囲気だが、アドレスでは前モデル『G425 LST』と同様、『MAX』や『SFT』よりも一回りヘッドが小さい。また、ライ角が57.5度と『MAX』や『SFT』よりもかなりフラット。強いオープンフェースと相まって、球をつかまえ過ぎないイメージが強く出ている。
実際に試打したところ、シャフトは軟らかめの設定ながらも素直なシナリ感で、ヘッドスピードが40m/sくらいのゴルファーならこのフレックスSで十分だろう。『G430シリーズ』は『G425シリーズ』と比べてソール面の剛性が上がり、軽かったインパクト音が改善されているが、この『G430 LST』は他の2機種と違いカーボンクラウンなので、インパクト音が低いのも特徴だ。
ヘッドのリアルロフト角設定が10.2 度と『MAX(11.8 度)』や『SFT(11.9度)』よりも厳しく小さいので、明らかに中弾道をイメージさせる。また、ネック軸周りの慣性モーメントが8683g・㎠と非常に大きいので、ダウンスウィングでのヘッドの返りが緩やかで、それを利用して、安定したフェード系弾道が打ちやすくなっている。
『G430 LST』のヘッド重量は204.5g で、『MAX(202.0g)』や『SFT(200.2g)』よりも重い。ヘッドスピードが速い人にとっては、重いヘッドと小さいリアルロフト角でボール初速を上げやすく、うまくミートすれば『MAX』や『SFT』よりは低スピンで飛距離が伸ばせそうだ。
これが『G430 LST』ドライバーの計測データだ!
※週刊ゴルフダイジェスト2023年1月24日号「松尾好員 責任計測×責任分析 ヘッドデータは噓つかない」より