2014年の日本ツアー本格参戦からずっと上位で活躍する申ジエの武器は、どこからでもビタビタ寄せるアプローチ。ときにライバルも教えを乞う“魔法の技”は、どうやって手にしたの? どうしたら身につくの!?読者に代わって余すところなく聞きました!

寄せのポイント① アプローチで使うクラブはドライバー以外のすべての番手!

画像: 申ジエが主に使う番手は56度、50度、PW、9番アイアン。「転がしたり上げたりするのはクラブがやってくれるものです」と申ジエ

申ジエが主に使う番手は56度、50度、PW、9番アイアン。「転がしたり上げたりするのはクラブがやってくれるものです」と申ジエ

「転がしたり上げたりするのはクラブがやってくれるもの。技を意識するからミスも出るし、距離感も合わないんです」

“技”について聞いたところ、いきなりのカウンターパンチ。

「アマチュアの方を見ていると、大抵が“当て方”に意識を向けすぎに感じます。あくまでも弾道を変えるのはクラブであって、自分ではありません」 

そんな申ジエがアプローチで使うのはドライバー以外のすべての番手。少なくとも9番あたりから実際に練習してみて“弾道を覚える”ことは大切だという。

「私の場合、まず落とし場所を決めてそこへ落ちる弾道をイメージします。多くの番手でそのイメージを持つことができれば1つの打ち方でいろいろな状況に対応できるようになります」 

女子プロ界の“技のデパート”の考えは意外とシンプルだったことに驚き。なにより大切にしているのは、毎回同じリズムや軌道で振ることだという。そして再現性を高めるために必須なポイントは、アドレスとグリップ、リズムの3つ。詳しく聞いてみよう。

寄せのポイント②アドレスは両足を閉じて、"飛ばない形"を作る

画像: 「最適なアドレスは人によって違いますが、“飛ばない形”を作ることが大事です。私は40ヤードくらいまでは両足をつけ、左足を少し引いています。グリップはショットと同じで、常に一定のリズムで振ることを心掛けてください」(申ジエ)

「最適なアドレスは人によって違いますが、“飛ばない形”を作ることが大事です。私は40ヤードくらいまでは両足をつけ、左足を少し引いています。グリップはショットと同じで、常に一定のリズムで振ることを心掛けてください」(申ジエ)

寄せのポイント③フォローまで頭を動かさないこと

画像: 「頭が動くとスウィングの再現性が下がってしまいますが、頭を動かさずに打つことでリズムや軌道が安定して、距離感が出せるようになります」(申ジエ)

「頭が動くとスウィングの再現性が下がってしまいますが、頭を動かさずに打つことでリズムや軌道が安定して、距離感が出せるようになります」(申ジエ)

どんな場面でも打ち方を変えず、一定リズムで打つことが大事だと言う申ジエ。そのために大切なことは何だろう。

「とてもシンプルですが非常に重要なのが“頭を動かさない”ことです。よくレッスンなどで『手だけではなく体も使う』ということを耳にします。それ自体は間違っていないのですが、体を使うことに意識が向きすぎて頭が動くのが一番ダメです。頭が動くとスピードも安定しないし、スウィングの再現性が下がってしまいます。頭を動かさずに打つことでリズムや軌道が安定し、結果、距離感も身についてくるはずですよ」 

動いていないように見えて、上級者でも頭は意外と動きがちだと申。そのために必要になるのが、首の柔軟性だという。

「特に首の前側の筋肉(胸鎖乳突筋)の柔軟性が大事です。ここが硬ければ、テークバックでもフォローサイドでも体の回転に首が付いていってしまい、頭が左右へ動いてしまいます。普段から意識的に首の前をストレッチしておくことで、頭が動きにくくなりますよ」

これができればほとんどの場面に対応できると申ジエ。ほとんどということは、特殊な打ち方も……!? さらに聞いてみよう。

寄せのポイント④ロブショットの距離感は、
"スピード"を変えて打つ練習で出せるようになる

画像: ひと振り30秒、ひと振り45秒と、「大きな振り幅でゆっくり振ることができるようになると、ロブショットの距離感が出せるようになります」(申ジエ)

ひと振り30秒、ひと振り45秒と、「大きな振り幅でゆっくり振ることができるようになると、ロブショットの距離感が出せるようになります」(申ジエ)

申ジエの真骨頂といえば、柔らかすぎるロブショット。これまでトーナメント中継で神技的なロブを見たことがある人も多いはずだ。あれ、真似したいです!

「難しいですよ~ (笑)。でも有効な練習法は一つあります。大きな振り幅で30秒以上かけ、ゆっくり振るドリルです。大事なのはスウィング中、腕と体、足を連動させること。手ばかり意識していると足が動きませんし、逆に足を意識すると手が置いてきぼりになるんです」 

ではどこでリードする?

「体幹ですね。私は左わき腹で引っ張るイメージ。慣れてきたら実際に球を打ってください。たとえばサンドウェッジのフルショットが70ヤードなら、30ヤードくらいまで落とすことができれば、スピードコントロールができている証拠。ゆっくり飛ばせるようになるはずです」

画像: 「スピードをコントロールするために大事なのが、左わき腹のリードです。足でリードしようとすると振り遅れやすくなります」(申ジエ)

「スピードをコントロールするために大事なのが、左わき腹のリードです。足でリードしようとすると振り遅れやすくなります」(申ジエ)

寄せのポイント⑤スピンをかけたいときは、右手をかぶせる

画像: 「スピンをかけたいときは、右手をかぶせるだけで、ヘッドが大きく動くぶんヘッドが走り、スピン量が増えます」(申)

「スピンをかけたいときは、右手をかぶせるだけで、ヘッドが大きく動くぶんヘッドが走り、スピン量が増えます」(申)

最後にもう一つ、スピンのかけ方について聞いてみた。

「振り方はそのまま、右手だけ“かぶせる”ように握ります。これによって手の動きが変わり、右手をかぶせるとヘッドが大きく動くぶんヘッドが走り、スピン量も増えます。距離感は遊びながら覚えてほしいですが、本来アプローチの“技”は、遊びから覚えるものなんですよ」 

1つの振り方で千変万化の弾道。できる気がしてきました!

(撮影/有原裕晶 撮影協力/太平洋C八千代C)

※週刊ゴルフダイジェスト2023年1月24日号「申ジエさんに聞こう。魔法のアプローチ 実戦編」より

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