ハワイからカリフォルニアに舞台を移したPGAツアーは今週ザ・アメリカンエクスプレスを開催している。PGAウエスト・スタジアムC、ニクラス・トーナメントC、ラ・キンタCCの3コースを予選ラウンドで回る変則トーナメントの結果次第ではOWGR(公式世界ゴルフランキング)史上はじめて同率世界1位誕生の可能性がある。

注目は現在世界ランク2位のスコッティ・シェフラーと同5位のパトリック・カントレー。一昨年の今大会で2位に入っているカントレーが今週優勝し、シェフラーが単独8位に入った場合、2人のポイントはタイになり世界ランク同率1位という史上初の珍事が実現する。

スコアの伸ばし合いとなった初日ラ・キンタCCを回った2人は仲良く4アンダー68をマーク。順位的には42位タイにとどまったが残り3日次第では何が起きるかわからない。

「1位が2人? それはかなり面白いね。今までになかったことだから」とシェフラーは笑うが、面白くないのはカントレーより上の世界ランク4位で、初日ラ・キンタCCで8アンダー64をマークし2位タイの好スタートを切ったジョン・ラームだ。

画像: 現在、2022年と23年で年をまたいで2連勝中のジョン・ラーム。しかし、ワールドランク1位に返り咲くにはまだ時間がかかる……(写真は2023年セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ 撮影/Blue Sky Photos)

現在、2022年と23年で年をまたいで2連勝中のジョン・ラーム。しかし、ワールドランク1位に返り咲くにはまだ時間がかかる……(写真は2023年セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ 撮影/Blue Sky Photos)

世界ランク5位のカントレーに1位浮上の可能性があるのになぜラームは優勝してもナンバー1に返り咲くことがないのか? そこには数字上のからくりがある。

世界ランクは過去2年の成績をポイントに換算して算出されるが、2年間で最多の44イベントに参戦しているラームは分母が大きいため計算上不利になる。つまり40試合しか出場していないカントレーの方が1試合あたりのポイントの比率が高くなるため世界ランク5位が4位を抜く珍現象が起きるのだ。

「マジでそんなことがあり得るの?」とラームは目を丸くするが、彼に関してはこんな理不尽な経験も。昨年ローリー・マキロイをはじめとした世界のトッププレーヤーが集結したDPワールド・ツアー選手権(欧州ツアーの最終戦)で優勝したにも関わらず獲得したのは約21ポイント。同週におこなわれビッグネームがほぼ出場を回避した米ツアーのRSMクラシックに優勝したアダム・スベンソンがおよそ 37ポイント獲得しており、ラーム本人が不満を漏らしただけでなくタイガー・ウッズも「フィールドの厚さが反映されていないOWGRには明らかに欠陥がある」と非難していた。

DPワールド・ツアー選手権に優勝したラームは23年PGAツアー開幕戦セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズで年またぎの2連勝を達成。直近の5試合すべて4位以内に入っているがナンバー1奪還の道は遠い。

2年間をトータルで見れば結果が出てない試合もあった。「それら(悪かったとき)のポイントが循環するまであと少し時間がかかるのかもしれない。でも勝つことですべては解消される。いいプレーを続けて勝ち続ければ自ずとそのポジション(1位)にたどり着くことができるだろう」(ラーム)。

不平不満を口にしても現状は変わらない。ラームは粛々と自分がやるべきことをやるのみだ。

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