22年11月にタイトリスト『Tシリーズ』で最後に登場した飛び系アイアン『T400』を紹介。
早速、試打・計測していく。アイアンは7番のヘッドとクラブ(シャフトはメーカー純正『NSプロ 880 AMC(フレックスS)』仕様)になり、数値はすべて実測値だ。クラブ長さ36.88 インチとやや短めだが、クラブ重量は410.7g とやや重く、スウィングウェイトもD4.2と他に類を見ないくらい非常に大きい。その結果、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが272万g・㎠と大きくなり、この数値だと本来はドライバーのヘッドスピードが45 ~ 46m/s くらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計といえるだろう。
ヘッドは一目見ただけで、フェース長が非常に長く、スコアラインも長いので、いかにも打ちやすそうな安心感がある。強めのグースネックと米国モデルとしては珍しくトップラインの丸さがあり、球を包み込むイメージが出ている。前モデルよりも広くなったソール幅はユーティリティ的なイメージで、ロフト角26度(少し前の5番アイアンと同じ)の超ストロングロフトが特徴だ。
実際に試打してみると、非常に長いフェース長と、ヘッドの背面が見えるくらいの広いソール幅、かつ強めのグースネック(フェースプログレッションは2.2ミリ)が相まって、いかにも打ちやすそうなイメージが出ている。フェースのヒール側の高さに比べてトウ側の高さが低いので、アドレスではフラット感が出ている。これは実際のライ角が62.7度と超アップライトになっているので、そう見えない工夫だろう。
試打クラブのシャフトは先側がやや軟らかめで振り抜きやすさを感じた。クラブ長さがやや短めなので、大きなヘッドがより大きく見え、球をミートしやすいイメージ。とはいえ、非常に大きなスウィングウェイトで、明らかにヘッドが利いている感じが強いのも大きな特徴だろう。大きなヘッドなので、当然のごとく重心距離は43.3ミリと非常に長く、同時にヘッドのネック軸周りの慣性モーメントも7044g・㎠と非常に大きい。ダウンスウィングでのヘッドの返りが緩やかだが、超アップライトなライ角で球をつかまえられる。フェース面の素材が硬いので打感も硬く、インパクト音も高いが、球を弾く感じが好きなゴルファーにはいいだろう。バックスピンは少なめの中弾道でランも出て飛ぶが、フェアウェイのあるがままの状態(球をドロップしたライ)からではロフト角26 度ではさすがに球は上がりにくいので、より振りやすいカーボンシャフトを選択するのもいいだろう。
これがタイトリスト「T400」のデータだ!
※週刊ゴルフダイジェスト2023年2月7日号「松尾好員 責任計測×責任分析 ヘッドデータは嘘つかない!」より