PGAツアーのカリフォルニアシリーズは2週連続で伏兵をビッグネームが逆転するドラマチックな幕切れとなった。逆転するビッグネームの役に一時松山英樹が名乗りを上げたが肝心のサンデーバック9でスコアを落とし9位タイフィニッシュ。それでもツアー屈指の難コース、トリーパインズ(ファーマーズ・インシュランス・オープン)で久々にベスト10入りした松山の今後に期待が持てそうだ。
画像: 首の痛みで本調子ではないものの、前半リーダーボードを駆け上がった松山。最後まで難コースを攻め続けた(写真は2023年ファーマーズ・インシュランス・オープン 撮影/Getty Images)

首の痛みで本調子ではないものの、前半リーダーボードを駆け上がった松山。最後まで難コースを攻め続けた(写真は2023年ファーマーズ・インシュランス・オープン 撮影/Getty Images)

昨年苦しんだ首の痛みは回復方向にあるものの、思うように飛距離が出ないなか最終日に松山が魅せた。出だしの1番でバーディを奪って勢いをつけると3番でバーディ、6番から4連続バーディを奪い前半だけで6つスコアを伸ばし二桁アンダーに突入。首位を行くサム・ライダーに2打差の2位タイに浮上した。

前週のザ・アメリカンエクスプレスでは23歳のルーキー、デイビス・トンプソンがトーナメントを引っ張ったがジョン・ラームが貫禄の逆転勝ちを納めた。そして今週も初優勝を狙うライダーを松山がとらえて、昨年のソニー・オープン・イン・ハワイの5打差逆転勝利を上回る7打差を引っくり返す展開が待っているのでは? と期待が高まった。

10番で8メートルのパーパットをねじ込んだところまでは完璧だった。しかし11番パー3で2メートル強のパーパットを外しこの日初めてのボギーを叩いてから歯車が狂い始め14番でもバンカーから寄せきれずボギー。最終18番は果敢に2オンを狙ったセカンドショットがグリーン手前の池に捕まりボギーと巻き返しならず。

「飛距離が出なくても、良いプレーができることがわかった」と前半のチャージに手応えを見せた松山は、昨年6月の全米オープン以来のベスト10入りに「良かったと思う」と前向きなコメントを口にした。

松山ができなかった逆転劇を達成したのは出場3試合連続優勝を狙い、最終日最終組を回ったラームではなく、故郷カリフォルニアで滅法強い(6勝中カリフォルニアで4勝)マックス・ホーマ。最終組の1つ前で回り6アンダー66をマークして4打差の逆転優勝を挙げた。

ツイッターの投稿が度々話題になるゴルフ界のSNSキングは優勝を決めた瞬間、妻レイシーさんと生後2カ月のカム君に迎えられ瞳を潤ませながら「我慢強いプレーが実った。持ち味のアイアンが切れて自分らしさを出すことができた」と喜びを爆発させた。

1982年のジョニー・ミラー以来の完全優勝目前まで迫りながら終盤崩れて4位タイに終わったライダーは「すごいプレッシャーだったけれど楽しめました。この経験がいつか実を結ぶと信じています」と前を向いた。

ライダーよりむしろ得意のトリーパインズで逆転Vならなかったラームの方がダメージは大きかったかもしれない。74を叩いて7位タイに終わり「1つ確信したことがある。フェアウェイをキープしていればこんなに残念なことにはならなかったということ。もっといいプレーをしなければ」と自らに喝を入れた。

目下絶好調で2連勝していてもゴルフは難しい。大男が直径4センチの白球に翻弄されるゴルフは実に厄介なゲームである。

This article is a sponsored article by
''.