「どんな攻め方をするのかワクワクする」と佐藤信人プロが語るキム・シウー。そのプレースタイルに注目してみた。

ソニーオープン・イン・ハワイでPGAツアー4勝目を挙げたキム・シウー。イケイケのプレースタイルでボクの好きな選手の一人ですが、キャリアを考えれば、その評価は少し低いと感じていました。

12年、史上最年少の17歳5カ月でPGAのQスクールを突破します。しかしツアーメンバーになるには、規定により18歳の誕生日を待たなければなりませんでした。そのため13年は出場試合はわずか8試合で、14、15年は下部の現コーンフェリーツアーが主戦場。そして15年、20歳で初優勝すると、15─16年シーズンにPGAツアーに復帰します。

16年、ウィンダム選手権でPGA初優勝。2日目に首位に立つと、21歳とは思えぬ圧巻のゴルフで、2位に5打差をつけての圧勝でした。そして翌17年、今度は第5のメジャーと呼ばれるザ・プレーヤーズ選手権で逆転優勝。最終日は強風で多くの選手が苦しむなか、唯一ノーボギーで回ったのがキムでした。ちなみに21歳11カ月での優勝は、同大会の史上最年少記録です。

また昨年のプレジデンツカップでは、トム・キムと組んだダブルスでパトリック・カントレー、ザンダー・シャウフェレを退けると、最終日のシングルスでジャスティン・トーマスを撃破。キム・シウーは4ゲームで3勝を挙げ、敗れはしましたが世界選抜チームに貢献しました。その威勢のよさに、トーマスがイライラした表情をちらっと見せたのが印象的でした。

プレーはとにかくアグレッシブ。基本的にティーショットはドライバーを持ちますし、ショットも多彩で、強烈なスティンガーショットを打ったり、果敢に直ドラで攻めたりします。一昨年のペブルビーチでは、高さ3mのドライバーショットを見せてくれました。

どんな攻め方をするのか、彼のゴルフは見ていてワクワクします。

今回優勝したソニーオープンの72ホール目のティーショットは、珍しくスプーンを握りました。守りに入ったのかと思いきや、ティーを高めにし、高いドローボールを打っていきました。普通は練習ラウンドや遊び半分でやる類いのショットを、優勝がかかるホールのティーショットでやるキム・シウーの大胆さが面白い。バンカーには入れましたが、そこから5Iで見事2オンし、してやったりのガッツポーズ。最終ホールをバーディとし、4勝目を手に入れたのです。

実は東京オリンピックで、ボクはひそかにキム・シウーを応援していました。というのも韓国選手の場合、メダル獲得で兵役免除になるからです。ソニーオープン優勝後のインタビューでは、兵役についてはノーコメントだったものの、9月に中国で開かれるアジア大会には出場する予定だとか。ここで金メダルを獲得できれば……。ボクたち日本人が口を出す問題ではありませんが、一人のファンとしてこれから脂が乗るであろうキム・シウーのゴルフを見ていたいのは偽らざる思いです。

プレジデンツカップの活躍とソニーオープンの優勝でより正当な評価をされてくるはず。十分にメジャーを狙える選手だと思います

画像: 「アグレッシブな攻め方ができるのは、天才的なグリーン周りとパッティングの技術があるからです」by佐藤信人(Photo/Tadashi Anezaki)

「アグレッシブな攻め方ができるのは、天才的なグリーン周りとパッティングの技術があるからです」by佐藤信人(Photo/Tadashi Anezaki)

※週刊ゴルフダイジェスト2023年2月7日号「うの目 たかの目 さとうの目」より

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