「前作モデルを凌駕(りょうが)しない限り新モデルは発売しない」という理念を持つピンゴルフが22年に発表した『G430シリーズ』のドローバイアスモデル『SFT』を紹介する。
では、クラブとヘッドを計測していこう。試打・計測用クラブ、および計測用ヘッドはロフト角10.5度、シャフトはメーカー純正の『ALTA J CB BLACK(フレックスS)』で、掲載する数値はすべて実測値になる。
クラブの長さは45.25インチ、クラブ重量は304.7gとどちらも標準的だが、スウィングウェイトがC9.8と兄弟モデルの『G430MAX』に比べて小さめ(『G430MAX』はD1.8)で、その結果、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが288万g・㎠に抑えられている。
この数値であれば本来はドライバーのヘッドスピードが43m/s~ 44m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計といえるだろう。
『G430MAX』と同様、ヘッドの横幅が非常に広い形状で、全体的にはやや三角形に見える。アドレスすると60.0度というライ角はアップライト感があり、また、フェースアングルはオープン0.5度で、1.0度オープンの『G430MAX』よりもオープンフェース度合いが少し弱められている。
実際に試打したところ、アドレスでは『G430MAX』よりもスクエア感が出ているので、構えやすい。そして、11.9度とリアルロフト角も大きく、球が上がりやすいので全体的にやさしく打てるイメージが出ている。そして、純正シャフトは軟らかめの設定ながらも素直なシナリ感で、ヘッドスピードが40m/sくらいのゴルファーなら、Sフレックスで十分だろう。
『G425 SFT』 と比べ、ソール面の剛性が上がり、軽かったインパクト音が改善されたので、違和感なく扱えるはずだ。
そして、『G430MAX』同様に、ヘッドの重心深度が46.5ミリと非常に深く、基本的に大慣性モーメントを狙った設計だが、フェース面のスイートスポット(SS)位置が37.1ミリと高く、高重心設計で、比較的スピンは入りやすい。SS位置が高いので、普段から厚めのインパクトでフェースの上側に当たりやすいゴルファーに向いているだろう。
『G430MAX』や『G430LST』に比べ、フェース面のSS位置がヒール寄りにあり、同時にヘッドのネック軸周りの慣性モーメントが8874g・㎠と、9706g・㎠の『G430MAX』よりも小さくなり、わずかだがヘッドが返りやすい。よって、『G430MAX』や『G430LST』よりも球をつかまえやすくなっていて、ドローバイアスモデルといえる。
これが『G430SFT』ドライバーの計測データだ!
※週刊ゴルフダイジェスト2023年2月14日号「松尾好員 責任計測×責任分析 ヘッドデータは嘘つかない!」より