多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏は「クラブ選びは重心選び」と表現する。最新のギアを計測・分析するなかで、注目データをピックアップし、読み解く。今回はピン「G430 SFT」ドライバー。クラブ選びの参考にどうぞ!
画像: 【G430SFT/試打スペック】●ロフト角/10.5度 ●ライ角/59.5度 ●ヘッド体積/460㏄ 価格(税込/)9万3500円 ※すべてメーカー公表値

【G430SFT/試打スペック】●ロフト角/10.5度 ●ライ角/59.5度 ●ヘッド体積/460㏄ 価格(税込/)9万3500円 ※すべてメーカー公表値

「前作モデルを凌駕(りょうが)しない限り新モデルは発売しない」という理念を持つピンゴルフが22年に発表した『G430シリーズ』のドローバイアスモデル『SFT』を紹介する。

では、クラブとヘッドを計測していこう。試打・計測用クラブ、および計測用ヘッドはロフト角10.5度、シャフトはメーカー純正の『ALTA J CB BLACK(フレックスS)』で、掲載する数値はすべて実測値になる。

クラブの長さは45.25インチ、クラブ重量は304.7gとどちらも標準的だが、スウィングウェイトがC9.8と兄弟モデルの『G430MAX』に比べて小さめ(『G430MAX』はD1.8)で、その結果、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが288万g・㎠に抑えられている。

この数値であれば本来はドライバーのヘッドスピードが43m/s~ 44m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計といえるだろう。

『G430MAX』と同様、ヘッドの横幅が非常に広い形状で、全体的にはやや三角形に見える。アドレスすると60.0度というライ角はアップライト感があり、また、フェースアングルはオープン0.5度で、1.0度オープンの『G430MAX』よりもオープンフェース度合いが少し弱められている。

実際に試打したところ、アドレスでは『G430MAX』よりもスクエア感が出ているので、構えやすい。そして、11.9度とリアルロフト角も大きく、球が上がりやすいので全体的にやさしく打てるイメージが出ている。そして、純正シャフトは軟らかめの設定ながらも素直なシナリ感で、ヘッドスピードが40m/sくらいのゴルファーなら、Sフレックスで十分だろう。

『G425 SFT』 と比べ、ソール面の剛性が上がり、軽かったインパクト音が改善されたので、違和感なく扱えるはずだ。

そして、『G430MAX』同様に、ヘッドの重心深度が46.5ミリと非常に深く、基本的に大慣性モーメントを狙った設計だが、フェース面のスイートスポット(SS)位置が37.1ミリと高く、高重心設計で、比較的スピンは入りやすい。SS位置が高いので、普段から厚めのインパクトでフェースの上側に当たりやすいゴルファーに向いているだろう。

『G430MAX』や『G430LST』に比べ、フェース面のSS位置がヒール寄りにあり、同時にヘッドのネック軸周りの慣性モーメントが8874g・㎠と、9706g・㎠の『G430MAX』よりも小さくなり、わずかだがヘッドが返りやすい。よって、『G430MAX』や『G430LST』よりも球をつかまえやすくなっていて、ドローバイアスモデルといえる。

画像: リアルロフト角が11.9度と大きく、球を上げやすい。重心距離は41.5ミリと長いが、『G430MAX』よりもSS位置がヒール寄りのため、ヘッドターンしやすい

リアルロフト角が11.9度と大きく、球を上げやすい。重心距離は41.5ミリと長いが、『G430MAX』よりもSS位置がヒール寄りのため、ヘッドターンしやすい

これが『G430SFT』ドライバーの計測データだ!

画像: 低重心率とは「重心高さ÷フェース高さ」の数式で表され、数値が小さいほど低重心となり、低スピンになりやすい

低重心率とは「重心高さ÷フェース高さ」の数式で表され、数値が小さいほど低重心となり、低スピンになりやすい

※週刊ゴルフダイジェスト2023年2月14日号「松尾好員 責任計測×責任分析 ヘッドデータは嘘つかない!」より

This article is a sponsored article by
''.