アゲンストの飛ばし方① 手先を使わないで、ゆっくり振る
風が強い日のドライバーショット、一番悩むのはアゲンストの日。普段よりも飛距離が落ちるのは仕方ないにせよ、その落ち幅を何とか小さく収めたい。
飛ばし屋プロはどうやって対策しているんだろう。小山内護に聞いてみた。
「アゲンストで飛距離を落とさないためには、いかにスピン量を抑えられるか。
昔は風が強い日は林の上に出ないような低い球を打っていたけれど、いまはボールが進化して昔ほど風に負けない。
もちろん高い球を打っちゃダメなので少しだけボールを右に置いたりはするけれど、それよりもいかに静かにインパクトできるかがポイントだね」
アゲンストの飛ばし方② できるだけ右ひじを伸ばしたまま上げる
スピン量が増える最大の原因は、インパクト前後で手先を使ってボールを強くヒットしてしまうことにあると小山内。
それを防ぐために、「大きくゆっくり」スウィングすることが肝心だと話す。
「上腕を胴体から離さずに体の回転で振れば、スウィングは大きくゆっくりになる。
大事なのは始動。右ひじをできるだけ遅くまで伸ばしたまま体を回していければ、スウィングの弧が大きくなるし、手先が悪さをせずにゆっくり振れるよ」
アゲンストの飛ばし方③ 腕と体を同調させたまま体を回し切る
「アゲンストは手先を使わずスウィング」
と言う小山内だが、それであんなに飛ばせるのは不思議だ。しかしよくよく聞いてみると、手先をまったく使わないわけではないらしい。
「ひじから先を使わない体の回転が基本なのは大前提。それで普段の9割くらいは飛ばせるんだけど、飛ばしのエッセンスとして実は手首は使っている。
ひじから手首までは使わない。でも手首から先は手の甲〜ひら方向にやわらかく使うのが飛ばしのポイントなんだよね」
アゲンストの飛ばし方④ 手首から先だけを魚の尾びれのように動かすこと
このとき大事なのは、前腕の回旋を使わずに、手首から先だけで手のひらをヒラヒラとあおぐように使うことだと小山内。
「魚の尾びれみたいな動きだよね。こうすればフェース面がねじれずスクエアなままヘッドを走らせられるので、スピン量は増えないし、球も曲がらない。最初はパターで練習するとイメージしやすいはず」
アゲンストの飛ばし方⑤ フィニッシュは両ひざをピタッと閉じる
そしてもう一つ大事なのが、フィニッシュまで体の回転を止めないこと。右肩、右腰、右ひざの“三兄弟”をセットで回していって、両ひざがくっついたフィニッシュを目指そう。
フォローの飛ばし方① フォローの風なら上に上げれば、球は飛ぶ
アゲンストは低スピンの球。ではフォローの場合はどうすればいいのだろうか。
「フォローはちゃんと風に乗せれば飛距離が伸びるので大きなチャンス。
でも冬の強いフォローでは、アゲンストのときと同じような球を打つと風にボールを叩き落とされてドロップし飛ばなくなってしまうこともあるから要注意。
風に乗るか叩き落とされるかの境目は、林の上を吹いている風のところまでボールを届かせられるか。
僕は林の上の上空に“透明な天井”をイメージして、その天井を“ブチュッ!”と突き破るような高い球を打つようにしています」(小山内)
フォローの飛ばし方② 目線を高くして、右体重で構える
高い球を打つ最大のポイントは「目線」だと小山内。
普段よりも高いところに目線を置き、そこに向かって一気に振り抜くこと。そのためにはボール位置を普段よりもボール1個分くらい左にし、右足体重で構える。目線が上がる分、肩のラインも左上がりだ。
フォローの飛ばし方③ 右→左のステップで、大きなフォローで振る
「右体重のままで振ると“明治の大砲”になってプッシュやスライスしてしまう。右体重の構えから一度左にしっかり乗りながらインパクトすることが大事で、フィニッシュでは右に戻ってもOK。右→左→右をイメージするといいですよ」(小山内)
横風の飛ばし方 風に逆らわず風上を向いて球を打つ
最後に横風対策を聞いたが、横風は「風に逆らわない」ことが大事だと小山内。
「風に逆らう球は計算できないし飛ばないんです。大事なのは思い切って風上を向いて構えて、勇気をもってそこに打ち出すこと。
ボールが風に流されていく“落ち姿”を想像して、林やバンカー、ときにはOBの上まで向く。あとはフォローのときのような高い球を打てば風の影響を大きく受けるのでそれが保険になります。
極端に向きを変えるのは怖いし本当に難しいので、意図したところを向く練習は普段からしておいてください」
PHOTO/Hiroaki Arihara TEXT/Kosuke Suzuki THANKS/平川CC
※週刊ゴルフダイジェスト2023年1月31日号「『風と友達』ドライバーショット」より