西村優菜ちゃんの握りを試して、クロスハンドを試して…
小祝さくらは今、新シーズンに向けて合宿の真っ最中だ。吉田直樹コーチと、日本各地で、アメリカで、課題習得に励んでいる。
「アメリカでも遊びや観光などは一切ナシです。10日間しかいないですし、けっこういいゴルフ場も多いので、そういった環境のなかで、アプローチやパット、ラウンドなどをしながら“ゴルフ漬け”でやれたらなあという感じなんです」
小祝さくらはここ数年、オフの課題をパッティングにも置いていた。ラインのイメージを強く出すため、1球ずついろいろなラインに変えて打つ練習をしたり、西村優菜のグリップを真似て取り入れたりもした。
「最初は優菜ちゃんのを見て、そういう握り方もあるんだなと思って、よかったのでしばらくやっていたんです。でも手を使っちゃうクセが出やすくなって……そこからクロスハンドも試してみるようにしました」
調子を崩すとアウトサイドイン軌道になる。手を使い、フックを左にひっかけ、スライスを右に外すクセが出てくる。「7メートル以内はクロスハンドで打ったりもした。ストロークしやすいのと、手を使うクセが減りました」
そして、昨夏のニッポンハムレディスから替えたパターがしっくりきた。「それまではパターをそんなに替えるタイプではなかったけど、『どうせ入らないなら替えよう』と、いろいろ試してみたんです。そして四角いヘッドの『オデッセイのTEN』。転がりの伸びがあったんですよね。それまでは打っても打ってもショートしちゃったり、かといって打とうと思ったらパンチが入ったりして、距離感の安定性がなかったんですけど、“あとひと転がり”してくれるパターで、自分で打ちにいかなくていいので、すごく打ちやすかった」
「中尺っぽい長さにして重さも足しました。すごいフィット感が出て、体で打つイメージが強くなりました」
「パターを重くしたり長くしたら、距離感が変わる。前使っていたものとけっこう違うかなと思ったけど、違和感はなかったんです」
最終戦までずっとパットの調子はよかった。それは今も続いていて、今年のオフの課題はショットに集中できる。もちろん小祝がパッティング練習をしないことはない。試合後もコースで練習した後、いつもホテルの部屋で練習する。レールを使って転がす練習だ。それはオフも変わらない。
「パターの練習って、基本全部地道なので、そんなに“地道だなあ”って感じたことはないです。やらなきゃ、というより、やったほうが安心してコースに行けるので、確認みたいな感じでやっています」
“地道練”は小祝の得意とするところ。小祝のゴルフを成長させてきた。「地道でシュールな練習です。でも絶対効果はあって、ショートパットがすごく安定します。ただ、続けないと意味がないので、けっこう厳しい練習法です。気合いが入ってる方にはいいと思います(笑)」
週刊ゴルフダイジェスト2023年2月28日号より(PHOTO/Satoru Abe、Hiroaki Arihara)