有村 同じ熊本出身なのにご挨拶くらいしかしたことなくて。今日は楽しみにしていました。
陣内 熊本といっても私は有村さんと違って八代市出身だから「下通」(熊本市中心部のアーケード街)は行けなかった、怖くて(笑)。行けたとして上通にある「スイス」くらい。
有村 有名な洋菓子店ですね。懐かしい。
陣内 いきなりローカルトーク(笑)。それにしても、熊本県はゴルフとバドミントンが盛んだよね。
有村 ほんとに。ゴルフの場合、まず「坂田塾」があったこと。あとは、熊本県ゴルフ連盟がジュニアゴルファー育成にすごく力を入れていて「ジュニアは無料」という方針を打ち出してくれたこと。
私がジュニアだった時代、練習場でもコースでもジュニアならお金がほとんどかからなかったです。環境が良かった。プロゴルファーがたくさん出ているのは、それが理由ですね。
バドミントンはどうでしょう?
陣内 いい指導者がいたんです。いい先生が、私のいた八代にもいたし、熊本にもいたし。すると選手はもちろんだけど先生たちも切磋琢磨して。
ライバルたちが高め合いながら強くなって「熊本で勝てれば全国で勝てる」と言われるくらいでした。やっぱり環境が良かったですね。
有村 県民性もあるかもしれませんね。私たちは「世話焼き」って言うんですけど。たとえば、子どものときでも、練習場で球を打っていればおじちゃんたちが寄って来て教えてくれたり。
「この間、どこどこの練習場に行ったら不動(裕理)さんが何時間打ちよったぞ」とか。
どこでも見守られているっていうか、地元の人みんなに育てられたっていう感覚はあります。
陣内 八代でも世話焼きは当たり前。だから、今もいろんなところで出会った人と「(出身が)熊本」って確認できるとグーーーッと距離が縮まる。だから結婚のことも聞いちゃいます。まずはおめでとうございます。
有村 ありがとうございます。夫は普通の会社員です。帰ったら洗濯が終わってたりするような人で助かっています(笑)。
陣内 うちの夫(元プロ野球選手の金石昭人さん)も何でも自分でやる人。結婚したのが私が37で彼が40のとき。
お互い一人暮らしが長いから、できちゃうのよ。だから、家庭がちょっと合宿所みたいな雰囲気(笑)。自分のことは自分で、っていう。
有村 いいですね。うちの場合、夫はゴルフとは関係のない仕事をしていますが、ゴルフ好きでゴルフに理解があるので助かっています。ちなみに陣内さん「結婚して良かった」と思うことありますか?
陣内 ありますよ。私はネガティブで心配性なところがあるんですけど、夫はいつも「ぜーんぜん、大丈夫」って言う人。
「今日はうまくコメントできなかった」と悔やんでいたら「全然大丈夫、母ちゃん(陣内さんのこと)のコメント、誰も聞いてないから」って(笑)。もうそれでこっちも平気になる。
有村 そういうプラス思考、いいですね。
陣内 ケンカすることもあるんですけど、そんなとき夫が言うんですよ。「俺たちにはケンカするヒマないんやぞ」って。「老夫婦なんやから、そんな時間ないぞ」って(笑)。
有村 うちの場合、私がずっとゴルフ界で生きてきて、その世界しか知らない。夫と話していると視野が広がる感じはしますね。
陣内 うちはアスリート同士だけど競技が違うから、全然、考え方が違うことも。すごく勉強になる!
有村 ほんとにそう思います。陣内さんは交友関係が広いから、ますます考え方に幅が出そう。
陣内 今は現役時代と違って“勝負”をしていないから、というのもあるかな。現役時代は人と会うくらいだったら家で腹筋したほうがいいと思っていた(笑)。
有村 でも、陣内さん、今でも運動はされていらっしゃいますよね?
陣内 運動ってね「運を動かす」って書くでしょう。体をいっぱい動かして、いい運を引き寄せるの!
運動っていってもトレーニングとかだけじゃなくて、ちょっと肩を回したり、家事をするとかだっていいと思う。それで運を寄せる。動くとねえ、いいことがあるんです。出会いがあったり、知らないことを知れたり。
有村 確かに、動くことでいいきっかけにつながりますよね。
陣内 動くと視野が広がるよー(笑)。(後編へ続く)
※週刊ゴルフダイジェスト2023年2月21日号「有村智恵&陣内貴美子 異種アスリート対談」より