今年9月のライダーカップはイタリアで開催。ツアー解説でおなじみの佐藤信人プロは、最近のフランチェスコ・モリナリに注目していると語る。

1月中旬、欧州ツアーでは新設のヒーローカップが開催されました。欧州大陸VS英国&アイルランドの対抗戦。あまり注目された大会とは言えませんが、ボクとしては今年9月、イタリアで開催されるライダーカップの前哨戦として注目していました。

実は欧州大陸VS英国&アイルランドの対抗戦は00年から13年まで「セベ・トロフィ」という大会名でライダーカップのない年に開催されていました。

それが今回、インドのオートバイメーカーのヒーローをスポンサーに復活した格好です。チームキャプテンは欧州大陸がフランチェスコ・モリナリ、英国&アイルランドがトミー・フリートウッド。

18年にフランスで開催されたライダーカップでは、この2人の組み合わせが見事に当たり、大いに活躍、欧州チームが優勝、「モリウッド」という造語も生まれたほどでした。

今回、両チームの選手20名はライダーカップで欧州のキャプテンを務めるルーク・ドナルドが2人と話し合い決めたそう。有望な若手を見ることと経験を積んでもらうことが主な目的でしょう。

今回紹介するのはヒーローカップで欧州大陸を勝利に導いたモリナリです。欧州ツアーを経て、18年にクイッケンローンズでPGA初優勝。その勢いで約1カ月後の全英オープンを制し、イタリア人初のメジャーチャンプに輝きました。

そして前出のライダーカップでは、欧州勢としては初の全勝でチームを勝利に導いています。さらにこの年は、自己最高の世界ランキング5位にまでなりました。

19年も春のアーノルド・パーマー招待で勝ち、そのままスターダムにのし上がるかと思われましたが、転機はマスターズで訪れます。

最終日を2位と2打差の首位で迎え、11番まではモリナリのペースで試合が進みました。ところが、これまでいろいろなドラマを演出してきた12番のパー3。ティーショットを池に入れると、15番パー5でも池につかまり、タイガー・ウッズに逆転優勝をさらわれます。

タイガーにとっては11年ぶりのメジャー優勝でした。タイガーの劇的な復活優勝を後押しした形になりました。そして、そこから始まるのがモリナリのスランプです。

要因は実際よくわかりませんが、全英やライダーカップ活躍などのあまりにもすごい偉業達成の後の反動とか、ケガ(腰痛)、コロナなどが重なった影響か……特にコロナは大きかったのかなと思います。生活拠点をロンドンからロサンゼルスに移したりもしました。

しかし昨年、40歳になったモリナリに復調の兆しが見え始めました。全英オープンで15位、欧州ツアーのPGA選手権で9位。そしてプレーイングキャプテンとして出場したヒーローカップでは、4試合に出場して3勝1分け。

今年のライダーカップはモリナリの自国・イタリア開催です。

ルーク・ドナルドが欧州大陸のキャプテンに指名したのは、その伏線もあるでしょう。そして、この活躍です。ライダーカップでのキャプテンズピックの6人に名乗りを挙げました。彼の復活を、ひそかに期待しているのはボクだけではないはずです。

画像: 「40歳になったフランチェスコ・モリナリ。彼の復活を、ひそかに期待しています」by佐藤信人(Photo/Tadashi Anezaki)

「40歳になったフランチェスコ・モリナリ。彼の復活を、ひそかに期待しています」by佐藤信人(Photo/Tadashi Anezaki) 

※週刊ゴルフダイジェスト2023年2月21日号「うの目 たかの目 さとうの目」より

This article is a sponsored article by
''.