O編 しっかし、わきゅうは、ユーチューブはやらないし、フェイスブックもインスタグラムも更新しないよね。
坂詰 SNSって苦手なんですよねぇ。ボクのフェイスブックとインスタ、人が作ってくれたんですけど、アップの仕方がよくわからなくて。
O編 いやいや、それはわからないんじゃなくて、わかろうとしてないだけでしょ~。いまどき、SNSで発信してないプロコーチなんて、なかなかいないよ?
坂詰 えへへ。目立たないように細々やるのが好きなんです。でも、馬場ちゃんが全米女子オープンに出場したときには、スタッフがスクールのインスタにアップしましたよ。
O編 馬場さんが、全米女子アマに勝ったときは?
坂詰 そりゃあ、もちろん……(と言ってパソコン画面をスクロールする)。はっ! アップしてない!
O編 信じられん。なにやってんの。スクールの宣伝にもなるのに。
坂詰 まぁ、いいんです。ボクはもう手一杯だし。うちには他のジュニアの子たちもたくさんいるじゃないですか。基本的に、みんな平等にしたいんです。試合に勝ったからって、特別扱いはしたくないんですよ。
O編 いいじゃない、みんなで祝福すれば。全米女子アマ勝った日本人なんて2人しかいないんだから。
坂詰 う~ん。たしかにすごいことなんですけどね。馬場ちゃんはプロを目指しているんだから、それだけで喜んでちゃいけないって思うんです。今年の秋のプロテストに通って、シード権取って、優勝して、初めてあのタイトルが生きてくる。
O編 確かに、プロになれなかったら、せっかくのタイトルもかすんじゃうかもしれないよね。言ってることはわからなくもないけど、ホントはSNSが面倒くさいだけなんじゃないのう~?
坂詰 それはちょっとありますけどね。えへへ。
O編 ところで、この冬は、馬場さんと合宿とかやったの?
坂詰 やってないです。
O編 シーズンインに向けて、新しい課題に取り組んでいるとか?
坂詰 体作りのことは言ってますが、新しい課題とかはないです。
O編 え? ほったらかし?
坂詰 ちょ、ちょっと~。人聞きの悪いこと言わないでくださいよ~。うちは放任主義なんです。選手には、やるべきことは言ってあるし、その選手が悪くなるパターンも、直し方も教えてありますからね。選手がわからなくなって聞いてくるまで、ボクからは何も言わないようにしてるんです。
O編 へ~。そうなんだ。ほら、プロでも「コーチにはなるべく一緒にいてほしい」「少しでも長く教えてほしい」って選手も多いじゃない?
坂詰 あぁ、そうですねぇ。でも、ずっとべったりして教えすぎるのって、よくないと思うんですよ。
O編 どういうこと?
坂詰 コーチっていつも一緒にいられないじゃないですか。キャディとして帯同しているときは別ですけど、コースに出たら、選手はいろいろなことを自分で考えて、自分で判断する必要があるわけです。
そのためには、普段から、なんでもかんでも教えてもらおうとするんじゃなくて、自分で考えるクセをつけておくことが大切だと思うんですよ。
O編 たしかに、コーチがずっと一緒にいて、すぐに答えを出してたら、選手がコーチに依存して、自分で考えなくなっちゃうもんね。
坂詰 それはホントよくない。たとえば、ショットが悪くなっても、選手はある程度自分で修正できなくちゃいけないわけです。だからボクはそこを教えているんですよ。
たまに、試合中、最初から最後までショットを曲げまくってる選手とかいるでしょ。あれって、自分で修正する方法を知らないというか、そういう教わり方をしていないんだと思うんですよねぇ。
O編 そういう意味で言うと、一般のゴルファーも、自分の悪いところを知って、その修正法を知っておくことは大切だよね。そうすれば、スランプにもなりにくいだろうし。
坂詰 そうですね。自分のクセというか、自分のショットが悪くなるパターンって、だいたい決まってますから、そのパターンと修正法を知っておくことは大切だと思います。スマホのビデオを使えば、悪いところも見つけやすいですし。直し方がわからなかったらプロに相談するのもいいと思います。
O編 ちなみに、わきゅうは、その面倒くさがりで商売っ気のないところを直す気はないの(笑)?
坂詰 おおお。直し方はわかるけど、直す気はないかも……。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年2月21日号「ひょっこり わきゅう。第4回」より