多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏は「クラブ選びは重心選び」と表現する。最新のギアを計測・分析するなかで、注目データをピックアップし、読み解く。今回はピンの「G430 HL MAX」ドライバー。クラブ選びの参考にどうぞ!
画像: 【試打クラブスペック】●ロフト角/10.5度 ●ライ角/59.5度 ●ヘッド体積460cc ●価格(税込)/9万3500円 ※すべてメーカー公表値

【試打クラブスペック】●ロフト角/10.5度 ●ライ角/59.5度 ●ヘッド体積460cc ●価格(税込)/9万3500円 ※すべてメーカー公表値

ピン『G430 HL MAX』のクラブとヘッドを計測していく。試打・計測用クラブ、および計測用ヘッドはロフト角10.5度、シャフトはメーカー純正『フジクラ スピーダーNX45 』。掲載する数値はすべて実測値になる。

クラブの長さは45.5インチとやや長いが、クラブ重量が277.3gと非常に軽いので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが282万g・㎠に抑えられている。この数値であれば、ドライバーのヘッドスピードが40m/s くらいのゴルファーにとってタイミング良く振りやすい設計といえる。ちなみに標準『G430 MAX』のクラブ全体MOIは292万g・㎠なので、明らかに振りやすいことが最大の特徴だ。

ヘッドは標準モデルと同様に、横幅が非常に広い形状で、全体的にはやや三角形に見えるイメージ。ライ角は60.5度とアップライトで、『G430 MAX』と同じようなオープンフェースだ。

実際に試打したところ、アドレスでは標準モデルと同様に、大きな投影面積でやさしく打てるイメージが出ている。試打シャフトは、かなり軟らかめの設定ながらも素直なしなり感で、ヘッドスピードが30m/s 台のゴルファーにピッタリだろう。なお、クラブ重量を軽くしたためか、標準よりも1/4インチ、クラブが長くなり、スウィングウェイトをD1.0に維持している。

標準よりもヘッド後方のウェイトが約8g軽く、重心深度が43.8ミリと2.7ミリも浅くなっている。その結果、左右方向のヘッド慣性モーメントは5187g・㎠と標準より300g・㎠ほど小さくなり、ミスヒットへの強さは標準のほうが上回っている。

また、基本、低重心率が69.7%と高重心設計でスピンは入りやすいが、ヘッドスピードがそれほど速くないゴルファーにとっては、むしろ球がドロップしにくくキャリーを出しやすくなっている。

標準ヘッド同様にフェース面のスイートスポット位置(SS位置)がフェース中央よりもトウ寄りにあり、フェードバイアスクラブでヘッドのネック軸周りの慣性モーメントが9038g・㎠と非常に大きいのでダウンスウィングでのヘッドの返りが緩やかになる。

総じて、安定したストレート~軽いフェード系弾道が打ちやすい。標準に比べインパクト音が高く、軽いイメージもある。シニアゴルファーに打ってもらったが、自分のクラブでキャリー180Yくらいのゴルファーがもっともきれいな弾道で効率よく飛距離を出していた。またフックフェースの『G430 HL SFT』もあるので両方試打してから選ぶとよいだろう。

画像: クラブ重量が277.3gと非常に軽い「G430 HL MAX」ドライバー。スイートスポット高さは36.6ミリとやや高め

クラブ重量が277.3gと非常に軽い「G430 HL MAX」ドライバー。スイートスポット高さは36.6ミリとやや高め 

これが「G430 HL MAX」ドライバーの計測データだ!

フェースアングルがオープン1.0度。ライ角は60.5度と超アップライトだが、フェースアングルがオープンなこともあり、つかまり過ぎるイメージはない。

低重心率は69.7%と高重心設計でスピン量が多めで弾道が安定する。SS位置がやや高いので、芯に当てるにはぶ厚いインパクトが必要になる。

また、ネック軸周り慣性モーメントが非常に大きい。ヘッドの返りが緩やかなので、ストレート~軽いフェードが打ちやすくなっている。無理に返そうとはせず、そのまま打つのがいいだろう。

画像: 重心深度は43.8ミリと非常に深いが「G430 MAX」よりも浅い

重心深度は43.8ミリと非常に深いが「G430 MAX」よりも浅い

※週刊ゴルフダイジェスト2023年2月28日号「松尾好員のヘッドデータは嘘つかない!」より

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