ツアー解説でおなじみの佐藤信人プロは、ラスベガス出身のルーキープロに注目していると語る。

PGAでは今シーズン、28人のルーキーが参戦しています。そのなかで現在、出場10試合でベスト10フィニッシュ4回、フェデックスランク8位、世界ランク53位と大健闘しているのが、テーラー・モンゴメリーです(2月8日現在)。

ネバダ州ラスベガス出身の28歳。大学も地元のネバダ大ラスベガス校に進み、17年にプロ転向しました。19年にQスクールからコーンフェリーツアーに参戦。昨年の同ツアーでは、トップ10フィニッシュが実に9回。ランキングで7位に入って、念願のPGA昇格を果たしました。

モンゴメリーのお父さんは、ラスベガスにあるシャドークリークというゴルフクラブの総支配人。一昨年ザ・CJカップが開催されたコースであり、18年にタイガー・ウッズとフィル・ミケルソンとの、900万ドル(約10億円)をかけた夢のマッチプレーの会場といえば記憶にある方もいるかもしれません。砂漠のなかに巨額を投下して造られたコースで、メンバーには富豪しかいないと言われています。モンゴメリーは、そこでゴルフを覚えたようです。

彼が最初に注目を集めたのは、20─21年の合併シーズンのコーンフェリーツアー。同ツアーからPGAに上がれるのは、ランキング25位以内までの選手です。26位以下の選手は入れ替え戦に回り、やはり25位以内に入ることが条件になります。そしてモンゴメリーはコーンフェリーツアーで26位、そして入れ替え戦でも26位で、あと一歩のところで涙をのんだのです。

このとき、モンゴメリーを押し出す形でPGAに昇格したのがジャスティン・ローワー。実は彼もまたギリギリで昇格できなかった経験があり、昇格が決まったインタビューで、最後にモンゴメリーに向かって「オレもそういう経験があるが、必ずチャンスは来るから頑張れ!」と励ましていたのが印象的でした。ちなみにローワーは昨シーズン、シード圏外だったのですが、LIVゴルフに移籍した選手の出場資格停止に伴い、繰り上がりで今シーズンもフル出場しています。

それはともかく、そうした悔しい経験があったからでしょうか、昇格後の初戦となったフォーティネットで3位、続くサンダーソンファームズで9位、年が明けてアメリカン・エキスプレスでも5位と、予想外(?)の活躍を見せています。超高級コースでゴルフを覚えたプロフィールもあり、その輝かしい交友関係もあってメディアには取り上げられやすい選手と言えるでしょう。

190㎝の恵まれた体格からドライバーは飛ぶし、何より現時点では平均パット数1位で安定した戦いぶりを見せています。プロ転向したばかりの頃にラスベガスで開催されたパット大会で優勝して大金をゲットしたり、コーンフェリーツアーで1シーズンに2度も26位で落ちたり、アメリカン・エキスプレスでは豪快なシャンクで池に入れ初優勝を逃しました。

なんともラスベガスらしい浮き沈みの激しいモンゴメリー。近い将来どんな派手な勝ち方をするのか見るのが楽しみです。

画像: 「190㎝の体格で、ワイルドなスウィングを見せてくれます」by佐藤信人(photo/Getty Images)

「190㎝の体格で、ワイルドなスウィングを見せてくれます」by佐藤信人(photo/Getty Images)

※週刊ゴルフダイジェスト2023年2月28日号「うの目 たかの目 さとうの目」より

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