キャロウェイゴルフの『パラダイム MAX FASTドライバー(以下・MAX FAST)』を計測していく。試打・計測用クラブ、および計測用ヘッドはロフト角10.5度、シャフトはメーカー純正『スピーダーNX40 for Callaway (フレックスS)』仕様。掲載する数値はすべて実測値だ。
クラブの長さは45.25インチと標準的で、スウィングウェイトはD2.6とやや大きめだが、クラブ重量が279.6gと非常に軽いので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが284万g・㎠に抑えられている。この数値だとドライバーのヘッドスピードが41 ~ 42m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振りやすい設計といえるだろう。ちなみに、似たヘッド形状の『パラダイムX(以下・X)』のクラブ全体慣性モーメントは292万g・㎠なので、『MAX FAST』のほうが明らかに振りやすい。
アドレスでは、ヘッドの横幅が非常に広い形状は『X』と似た感じだが、比較すると全体的に少し小ぶり感がある。また、『パラダイム』や『X』と違い、ネック部にいわゆるカチャカチャがないシンプルな構造で、フェースアングルは1.0度フックフェースであることが特徴だ。
実際に試打したところ、アドレスでは兄弟モデルと違い、フックフェースで、ライ角が59.5度とアップライト感があり、バルジ(左右方向の丸み)、ロール(上下方向の丸み)ともに少ない平らなフェースと小さなFP値で、ヘッド全体で球をつかまえるイメージが出ている。
試打クラブは、シャフトがかなり軟らかめの設定だが、適度なしっかり感もあり、インパクトの再現性もいい。似たヘッド形状の『X』よりもヘッド重量が約9gも軽いので、左右方向のヘッドの慣性モーメントは4952g・㎠とやや大きいが、5197g・㎠の『X』よりも小さいので、オフセンターヒット時の寛容性という意味では『X』のほうが上回っている。
ヘッドのネック軸周りの慣性モーメントが8117g・㎠と非常に大きく、基本ダウンスウィングでのヘッドの返りは緩やかなヘッドだが、『X』同様にフェース面のスイートスポット(SS)位置がフェース中央よりも少しヒール寄りで、かつフックフェースなので球をつかまえようとした設計といえる。ボディのカーボン比率が前モデルよりも高いので、インパクト音が低くなっている。
フェース面の反発は標準的で、ヘッドが重い『パラダイム』や『X』のほうがボール初速は出やすいが、クラブ全体の重量が軽くて、あきらかに振りやすいので、振りやすいクラブを求める、力があまりないゴルファーにいいだろう。
これが「パラダイム MAX FAST」ドライバーの計測データだ!
フェースアングルが1.0度フック。59.5度とアップライトなライ角とバルジ&ロールが少ないフェース、そしてFP値が小さいので球がつかまる印象が出ている。
また10.5度の表示ロフトに対し、リアルロフト角は11.6度と標準的で、フェース面が見えるので球が上がるイメージがある。
重心距離は42.0ミリと非常に長い。『X』と同様に重心距離は長いが、スイートスポット位置がフェース中央よりヒール寄りのため、フェース中央で当たるとドロー回転がかかりやすい。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年3月7・14日号「松尾好員のヘッドデータは嘘つかない!」より