PGAツアーのホンダ・クラシックはプレーオフの末クリス・カークが8年ぶりツアー通算5勝目を挙げて幕を閉じた。プレーオフの相手は34歳のツアールーキー、エリック・コール。名前を聞いてもピンとこないがじつは彼、70年代から80年代にかけ『グリーンの妖精』『史上もっとも美しいゴルファー』と呼ばれ日本でも人気があったローラ・ボーの息子。コールは元夫でPGAツアープロの父ボビー・コールの姓。サラブレッドが表舞台に立つまで時間がかかったが今回の2位をきっかけにブレイクしそうな予感だ。
画像: 世のおじさまゴルファーをとりこにしたローラ・ボー。日本で発売されたカレンダーは大人気に

世のおじさまゴルファーをとりこにしたローラ・ボー。日本で発売されたカレンダーは大人気に

カークに1打ビハインドで迎えた72ホール目。フェアウェイから先に打ったカークの打球はグリーン右の池へ。いっぽうコールは無難にグリーン左に打ち惜しくもバーディは逃したものの相手のボギーで首位に並び決着はプレーオフにもつれ込んだ。

しかしサドンデス1ホール目では4.5メートルのバーディパットがカップに蹴られ万事休す。ツアー16試合目のルーキーの初勝利はお預けとなった。

プロ転向は09年、20歳のとき。地元フロリダのローカルツアーでは50勝以上を挙げながらPGAツアーへの道は遠く14年かけてようやく今シーズンはじめて出場権を獲得した。

しかし開幕から4試合連続予選落ちを喫し、これまでのベストは先月のAT&Tペブルビーチ・プロアマの15位タイ。そんなフェデックスカップのポイントランク107位、世界ランク330位の男がホンダ・クラシックで突如高いポテンシャルを見せ、生涯最高の91万ドル強(約1億2千万円)を稼ぎ出した。

母ローラ・ボーは71年の全米女子アマで当時の最年少記録を塗り替える16歳で戴冠。注目を浴びると18歳でプロデビューしルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いた。日本ではデビュー前から人気に火がつきレナウンや(アーノルド・パーマーと共演)日清製油などのCMに次々と起用され一大ブームを巻き起こした。

ちなみに小社が手がけた彼女のカレンダーが異例の売れ行きで一家に一部ローラ・ボーといわれたほど。蛇足だがカレンダーの成功で自社ビルが建ったという逸話まである。

本業では10回の2位を含むベスト10入り66回を数えながら未勝利に終わった。私生活ではDVやアルコール依存症など数々のトラブルに見舞われ「目から出血したときには真剣にアルコールを断とうと思った」とリハビリ施設に入所。現在はレッスンプロとして自らのゴルフスクールを開校し指導をおこなっている。

母親がたどった波乱万丈の人生を間近で見て育ったコール。華やかな栄光からどん底までを経験したローラ・ボーの不屈の闘志を受け継いでいるなら、これから先ドラマの主役になる可能性は十分だ。

画像: ローラ・ボーの息子と言われれば納得の端正な顔立ち。活躍が続けば人気が出そうな選手だ(写真は2023年ホンダ・クラシック 撮影/Getty Images)

ローラ・ボーの息子と言われれば納得の端正な顔立ち。活躍が続けば人気が出そうな選手だ(写真は2023年ホンダ・クラシック 撮影/Getty Images)

※2023年2月27日12時8分 文章を一部修正いたしました。

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