同ツアーの「チャブクラシック」でランガーは、S・ストリッカー、P・ハリントンなどの実力者に3打差をつけ圧勝を飾った。
「ここ数年ヘイル(・アーウィン)の記録(45勝)を追いかけ、近づくにつれプレッシャーがかかりました。『今日も勝ちたい、タイトルを失いたくない』と邪念があったけれど、それは間違い。目の前の一打に集中することが一番大切なこと」
連覇に加え大会5勝目を挙げた彼は、「長いコースでは勝機はありません。自分に合ったコースでチャンスをつかむのがコツ」。
65歳5カ月23日での勝利は自ら持つ最年長V記録を塗り替えるもの。しかも最終日はエージシュート(65)まで達成する圧巻のプレーだった。
07年にシニア入りした当時、「ヘイルの記録に並ぶなんて絶対できるわけがないと思いました。それが現実になるとは。人口わずか800人のドイツの村から出てキャディをしたのがゴルフとの出合い。ここまで来られたのは実に感慨深い。いまはただホッとしているだけ。実感はあと数日たたないと湧いてこないでしょう」。
ストイックなドイツ人は最終ホールで自身のリードが1打しかないと思いドライバーを手にバーディを狙いにいったが、「2打リードしていますよ」とキャディ。すると「リーダーボードが正しいとは限らない」と最後まで攻めのゴルフを貫いた。
2位タイに入ったストリッカーは「彼(ランガー)は私たちを驚かせ続けている。体調を維持して走り続ける姿は本当に素晴らしい。そして何よりツアー屈指のナイスガイ。いい人が成功するのを見るのは気分が良い」とライバルを褒めた。
「46勝? もちろん挑戦しますよ」。生涯3度のイップスを克服した不屈の闘志は健在だ。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年3月14日増刊号「バック9」より