福岡県にあるザ・クラシックゴルフ倶楽部がそれだ。同ゴルフ倶楽部は1990年に開場。原設計は名匠・上田治に師事し、茨城ゴルフ俱楽部などを手がけた鈴木正一。
ザ・クラシックゴルフ倶楽部は1995年の日本女子プロを皮切りに、2017年の日本シニアオープン、2020年の日本女子オープンなど3度のメジャー競技を開催してきた。
それならば、ゴルフ場としてはメジャーのセッティングに相応しい“一流コース”として鎮座してもよいはずなのだが……?
ザ・クラシックゴルフ倶楽部の経営母体の代表取締役社長・谷水利行氏は、改造を決意した経緯について、「スコットランドのリンクス巡りをしていくなかで海外コースとの違いに気付き、弊コースが“ガラパゴス化”していると思うようになりました。もう一度フラッグシップの試合をするには、大改造をするしかないと決断しました」
ザ・クラシックゴルフ倶楽部は27ホールあるが、まず9ホールを今年の10月に完成させ、さらに9ホールずつ、3年をかけて改造に取り組むという。
その改造の指揮を執るのは、スコットランド出身のベンジャミン・ウォーレン。実家はスコットランドのノースベリックゴルフクラブの近くにあり、そこでの“草ゴルフ”で育った。ノースベリックは世界中で最も模倣されている15番『レダン』が、戦略的パー3ホールのお手本として有名。
ベンジャミン・ウォーレンは、有名設計家のトム・ドークやリオ五輪ではギル・ハンスのもとでシェイパー助手として腕をふるってきた人物。日本では狭山ゴルフ・クラブ、我孫子ゴルフ倶楽部の改修に携わっている。
クライアントである谷水社長の注文はただひとつ。「年間6万人の入場者が楽しんで進行できるコースをお願いします。あとは全部、彼に任せます」
現在、急ピッチで進む造成現場では、2グリーンを1グリーン化し、ルーティングを変更。1番は米国のパインハースト、5番は英国のサニングデール、7番は先述のレダン……。
現場を見学した武居振一氏は、リンクスを中心に世界のゴルフ場を350以上回った“コース目利き”で、R&A会員でもある。「ウォーレン氏には、シェイパーとして世界の現場で培ってきた応用力があります。何より2グリーンの消し方が絶妙です。無駄のない動線、趣としては山のリンクスと呼べるのではないでしょうか。日本オープンの開催は問題ないと思います」。完成が楽しみだ。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年3月14日増刊号より