『P770アイアン』を試打・計測していく。アイアンは7番のヘッドとクラブ(シャフトは『ディアマナ Thump95 (フレックスS)』仕様)で、数値はすべて実測値になる。クラブ長さは36.75インチ( 60 度法では37.0インチ)とやや短いが、クラブ重量が415.6gとカーボンシャフト仕様の割に重いので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが268万g・㎠と大きくなっている。この数値だと、ドライバーのヘッドスピードが44 m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計といえるだろう。
全体にオーソドックスなヘッド形状で、やや小ぶりなプロモデル。バックフェースはマッスルバック風で、いわゆるカッコいいモデルだ。アドレスではフェースプログレッション(FP 値)が5.0ミリと大きな、超ストレートネックで、かつフェースのリーディングエッジが丸いため、いわゆる逃げ顔のイメージが出ていて、球をつかまえ過ぎないフェード系弾道が浮かんでくる。
実際に試打したところ、オーソドックスなヘッドは構えやすく、フェースのトウ側の高さが『P790 』よりも低いので、62.3度とアップライトなライ角だが、そうは見え過ぎず、しっかり振っていけそうだ。試打クラブのカーボンシャフトは重めの設計で、非常に硬いのが特徴。難易度は高そうだが、33.2度のリアルロフト角のおかげか、球は普通に上がり、スピンも適度な感じ。カーボンシャフトではなく、『ダイナミックゴールド EX ツアーイシュー(S200)』も選択肢になるはずだ。
プロモデルヘッドながらフェース面は素材がクロムモリブデン鋼と硬いので、インパクト音は高く、かつ打感も硬いが、球の弾きはいい。ネック軸周りの慣性モーメントは5076g・㎠と標準的だが、そのなかでも最近のモデルとしては小さめで操作性が良く、インテンショナルにドロー、フェードと弾道を操作しやすい。そして米国モデルらしくバウンス角が4.0度と適度にあり、ソール面が丸いので、ダウンブローにスウィングした時のソールの抜け感が抜群だ。
33.2度と大きめのリアルロフト角でフェアウェイからのあるがままの状態(ドロップした状況)からでも球は上がりやすく、弾き感のあるフェースだが球を止めやすい。ヘッドの左右方向の慣性モーメントは2137g・㎠と非常に小さく、寛容性のあるやさしいヘッドではないが、ダウンブローにロフトを立てながらインパクトし、綺麗にソールが抜けていくような、いわゆる「お手本どおりのアイアンのスウィング」を身につけるにはいいクラブだ。
これが「P770」アイアンの計測データだ!
フェースプログレッションが5.0ミリで超ストレートネック。いわゆる出っ刃形状なので球が上がりやすく、フェースが返り切る前にインパクトを迎えるので左に行きにくい。ライ角は62.3度とアップライトだが、トウ側が低いのでつかまり過ぎるイメージもない。
また、バウンス角は4.0度。米国モデルらしく、バウンス角がしっかりついていてダウンブローのスウィングと相性がいいだろう。ソールの丸み感が良好で抜けもいい。
2.4ミリという重心深度の浅さからもわかるが、左右方向のヘッド慣性モーメントが2137g・㎠と非常に小さいので、寛容性の高いヘッドではないが、ストレートネックのプロモデルが好きなゴルファーにはおすすめだ。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年3月14日号「松尾好員のヘッドデータは嘘つかない!」より