フェードボールに取り組みましたが、フェーダーではありません
小祝さくらは進化のためには変化を恐れない。ドローヒッターだった小祝さくらだが、昨年オフから、新コーチの吉田直樹とともに、「フェードボール」に取り組んだ。
そもそも吉田コーチを見つけたのはユーチューブだ。「教え方や理論がよさそうだと思ったんです。谷原(秀人)さんを教えている方で、ちょうど一緒にラウンドする機会があって、つないでもらいました」
「私は新しい理論を常にチェックするわけではないんです。シャローイングとかGGスウィングとか、すごいなと思いますけど、自分には絶対できないだろうと思ってもいて、そこは一切見ていない(笑)」
「でも、こういうふうにやってみたいなということも何となくあったので、コーチに聞きながらチャレンジしてみようと思ったんです」
ドライバーショットが散らばっていたので安定感が必要だと思ったから、挑戦した。やると決めたらやる女、それが小祝さくらだ。
「フェードを打つときは少し左に向いて、軌道はアウトサイドインで。最初は違和感しかなくて、けっこう難しいなって。本当にできるのかなって思いながらやっていました。でも変えてよかった。安定感が出てミスも減りました。飛距離は変わっていません」
思い通りの球を打つ精度をもっと上げられたらいいな
昨年前半は安定していたショットだが、スウィングに偏りも出てくる。ドローばかり打つとクラブがどんどん下から入ってくるが、フェードの練習ばかりするとクラブが上から入って、今度はつかまらなくなってくる。
そうして調子が悪くなったりしていた。だから昨夏頃の小祝さくらは、試合ではフェードを打つが、練習ではドローも打ってスウィングを整えたりしていた。
キャディの小畑貴宏は語る。「左ピンのときは少しドローめで、右ピンのときはカットめで狙えるの
は、女子では申ジエプロしかいません。でも、さくらプロもそうできたらいいねと話をしていて、昨年末の3ツアーズで実際やってみて、上手い感じでいったんですよ」
今年の開幕前まで、さらなるショットの安定性を課題において練習してきた。「もうそれだけ。やっぱり思い通りの球を打ちたいですし、もっと精度を上げられたらなあと考えて取り組みました」
「今の私、‟フェーダー”という感じは一切ないんです。自分の球筋をそう決めているわけではなく、ピンポジションだったり、風向きといったシチュエーションに応じて打ち分ける感じにしています」
「そうすることで、マネジメント、自分のゴルフがけっこうラクになりました」
言われたことをただひたすら練習するだけではなく、その練習の意味や効果、最終的に目指すことも考えて、練習に取り組むようになった小祝さくら。より進化した小祝さくらの2023シーズンが開幕した。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年3月14日増刊号より(PHOTO/Satoru Abe)