スタート前の朝の時間、どう過ごしているだろうか。何となく練習場に行って1カゴ打って練習グリーンで少しだけボールを転がしてスタートしている人がほとんどかもしれないが、それで本当にいいの!? 朝イチ、大叩きしないために、スタート前にすべきことを、立山光広プロが解説する。
画像: スタート前は、しっかりストレッチ。伸ばしてねじって、さらに左右素振りで、体を"覚醒"

スタート前は、しっかりストレッチ。伸ばしてねじって、さらに左右素振りで、体を"覚醒"

「僕は練習しないときもあります。なぜなら球を打つ行為をそこまで優先順位が高いと考えていないからです。もちろんじっくり打つ時間があるならそのほうがいいですが、大事なのは『スタートホールのティーショットを大きくしっかり振り切るための準備をすること』。

だから、球を打たないときでもストレッチで体を動かしてウォーミングアップは欠かしません。数分やるだけでじっとり汗をかくくらい温めれば、朝から『体が動かない……』ということはなくなりますよ」(立山)

まず、クラブの両端を両手で持ってバンザイし、左右に側屈したり前屈したりする。次に、両端を持ったクラブを胸の前に横に突き出したまま、体を左右に捻転する。最後に左右両方で素振りをすることで体が目覚める、と立山。

まだ寒い日がいきなりやってくるこの季節、ウォーミングアップの優先順位は“一番上”だ。

ショット練習するなら、納得のいく球が出るまで打つこと

画像: 立山の基準は、スタート1時間前にストレッチを終えて、練習場で球を打ち始めること

立山の基準は、スタート1時間前にストレッチを終えて、練習場で球を打ち始めること

「もし練習場で違和感を覚え、それを残したままスタートするのでは、練習の意味はありません。球を打つのであれば“良い球”を打ってください。そのために大事なことは『大きくゆったり振る』こと。ウェッジはクラブが短いしフルスウィングしないからスウィングが小さくなりやすいので、僕は9番アイアンから始めます。

体が温まるまで“ゆったり大きく”だけ考えて振り、なじんできたら出球の方向を意識しながら納得のいく球が出るまで打ちます。ダフリがごまかされないよう、アイアンも低くティーアップしたほうがいいです。その後7番、UT、ドライバーと進み、余った球はウェッジを使います」 

また、立山は、スタート前のショット練習で注意してほしいポイントがあるという。それは、打ち出し方向や当たりが悪いまま番手を替えたり練習を終わらせたりしないこと。

練習場で納得のいく球が打てていれば、コースでも「練習どおりでOK」と自信を持ってスウィングできるからだ。

ゆっくり大きく振る練習から始めて、最後は納得のいく球を打ってから、パッティング練習へ向かおう。

パッティング練習で、調子が悪いと思ったら、仲間にチェックしてもらおう

画像: 「その日の不安を取り除くことが大事」。立山はあえて苦手なラインを選んで練習するという

「その日の不安を取り除くことが大事」。立山はあえて苦手なラインを選んで練習するという

スタート前のパッティンググリーン上でもショット同様、

「その日の不安を取り除くことが大事」だと立山。

「朝のパッティンググリーンでは、僕は苦手なラインを徹底的にやります。パターのラインって得手不得手だけでなく、最近スライスラインが入らないとかフックラインが気持ち悪いとか、そういう調子の波もあると思いますが、その苦手なラインをしっかり予習して納得がいくまでカップインさせてからスタートすれば、ラウンド中にそういう嫌なラインに出くわしたときに『朝やったから大丈夫』とビビらずに打てるんです」 

まずは1メートル以下の短い距離をきちんと決められるようになったら、距離を延ばして徹底的にやる。違和感があったらまた短い距離に戻しても良い。

「入らないときは、どこがおかしいか同伴競技者や仲間に見てもらうんです。そういうズレは僕らプロでも自分では気付けません。『フェースはどこを向いてる?』とか『構え、おかしくない?』と、第三者に見てもらってスタート前に修正してしまうのが一番良いんです」 

ちなみに立山は、ロングパットの練習はドライビングレンジに行く前に最初に済ませるのが習慣とのこと。とにかくタッチ重視で、イメージした距離がちゃんと打てるまで、これも納得がいくまでやるという。 

「最後は、2メートルくらいの上り真っすぐのラインを見つけて、『ガツン!』とカップインさせて自信をつけてからスタートします。とにかくスタート前に不安を残したくない。朝の練習でいきなり上手くなるわけじゃありませんが、こうやって自信をつけることはできます」 

アプローチ練習場では、距離のイメージをしっかり持つこと

画像: アプローチ練習場では、悪いライから打ったり、難しいショットを打ったりしないこと。キャリーの距離をしっかりイメージすることが重要だと立山

アプローチ練習場では、悪いライから打ったり、難しいショットを打ったりしないこと。キャリーの距離をしっかりイメージすることが重要だと立山

もしアプローチ練習場があるコースなら、パッティングする前に少し練習しておきたい。

しかしアプローチグリーンは、コース内のグリーンのようにきちんと刈り込まれていないことが多いため、そんな場合は注意が必要だと立山。

「こういう練習場はボールが実際のグリーンのようには転がらないので、『寄せよう』とするのは良くないです。やるならキャリー距離に集中すること。ピンまでの距離を歩測して、そこに落とすことだけを考える。距離を変えて何パターンかやっておけば、その日の“基準”が作れます。歩測してヤード数を具体的にイメージすることで、コース内でアプローチするときにも『あの距離だな』と想像しやすいと思います」 

色気を出して悪いライの練習などをせず、気持ちよくナイスアプローチできれば、朝イチのアプローチも対処できるはず。

ストレッチでしっかりウォーミングアップしてから、不安を取り除く練習ができれば、その日のスコアは期待できるだろう。

Photo/Yasuo Masuda Text/Kosuke Suzuki Thanks/鹿島の杜カントリー倶楽部【PGM】

※週刊ゴルフダイジェスト2023年3月7・14日号「スタート前の0番ホール」より

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