ツアー解説でおなじみの佐藤信人プロ。40代になっても、やる気まんまんのジャスティン・ローズのゴルフに注目しているという。
画像: AT&Tペブルビーチで4年ぶりの優勝を果たした42歳のジャスティン・ローズ

AT&Tペブルビーチで4年ぶりの優勝を果たした42歳のジャスティン・ローズ

2月のAT&Tペブルビーチで、4年ぶりの優勝を果たしたジャスティン・ローズ。自身としても40代で初の優勝であり、また今季PGAツアーでも40代の選手の初優勝です。

ちなみに昨シーズンの40代の優勝者はバラクーダ選手権でのチェズ・リービーのみ。日本ツアーも含め世界的に若手が台頭するゴルフ界にあって、ローズの優勝は特筆すべき快挙と言えます。

じつは、LIVゴルフに移籍しなかったことにも驚いていたんです。欧州ツアーの賞金王、13年の全米オープン覇者、リオ五輪の金メダリスト、18 年には世界ランキング1位となり、その勢いでPGAの年間王者にも輝きました。十分過ぎる実績と知名度は、LIVが食指を動かすには格好の対象。

正直、年齢的にも全盛期を過ぎたローズが、LIVに行く選択をしても仕方ないのかなと思っていました。ところがPGAに残り、その理由は「まだ勝っていないメジャーで勝ちたい」。それをまだ自分ができると心底思っているんだなとわかります。

思えば17年、セルヒオ・ガルシアが勝ったマスターズで、プレーオフの末に敗れたのがローズでした。ガルシアにとっては74試合目の挑戦でつかんだ初メジャータイトル。それをより感動的なものにしたのは、勝者を抱き寄せたローズのグッドルーザーぶりでした。

言うまでもなくローズの勝ちたいメジャーとはマスターズでしょう。かつて世界ランキング1位だったローズですが、昨年のマスターズは予選落ち。昨年末の世界ランクは70位台で今年のマスターズ出場権は持っていませんでしたが、今回の優勝で出場権を得られてとても喜んでいました。

また、コロナ禍でだれとも会えないときに、自分なりにスウィングのことをいろいろと考え、自分の考えでやってみたいとショーン・フォーリーとの長年のコーチ契約を終えました。

はたから見ていてもビックリするような高いフィニッシュになっていたり「ローズでもそんなことをするんだ」と驚いたものでした。勢いのあった選手が一度スランプに陥ると、コーチ、キャディ、道具を次々と代え、そしてスウィングのいたるところをいじり始めるもの。当時のローズも例外ではありませんでした。

2人の子どもの教育のため、所得税のかからないバハマからイギリスに居を戻したこともあり、教育費などこれから先のことを考えるとLIVからのオファーは魅力的だったはず。同年代の選手がLIV
に移籍、若手台頭のなかで居場所を失いつつある一抹の寂しさがあっても不思議ではありません。

しかし、そんな思いや高額な移籍金をも凌駕したのが、勝っていないメジャータイトルへの思い。最近のローズのインタビューを聞いていると、寂しさどころかやる気満々。マスターズでは2位が2回。

ここ数年のマスターズは、年が明けて1月から3月の優勝者が、その勢いのまま活躍するケースがほとんどです。また同じ会場で開催されるマスターズは、経験が生きる大会。ローズの初優勝も大いにあるとボクは思っています。

新コーチはM・ホーマ、A・ハドウィンなどを教えるマーク・ブラックバーン。元々オーソドックで綺麗なスウィング。飛距離アップしようとして改造しましたが、今は落ち着いて無理していない感じですね。

※週刊ゴルフダイジェスト2023年3月14日増刊号「うの目 たかの目 さとうの目」より

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