ゴルフルールを統括するR&Aと全米ゴルフ協会(USGA)が飛ばないボール、いわゆる『ロールバック』提案をおこなったことでトッププロたちに波紋が広がっている。年々飛距離が伸び続けることでコース側は距離を長くし対応してきたが、それによる整備コストの増加などでプレーフィにも影響が生じ、将来的に経営が破綻することが懸念されており、かねてからジャック・ニクラスやゲーリー・プレーヤーらがボール規制を訴えていた。しかし現役世代からは批判が相次いでいる。

R&AとUSGAの『ロールバック』提案ではボールの製造段階でヘッドスピード127mph、打ち出し角11度、スピン量2220回転の打球の飛距離に制限がかけられる。この条件でテストをおこない317ヤードを超える場合は違反とみなされるが、これはあくまでもツアープロやトップアマらエリート競技者の向けの規制。調整期間を経て施行されれば26年1月からローカルールとして採用されることになる。

この規制が施行されれば飛ばし屋たちの飛距離は15ヤード前後落ちる計算になるため、ドライビングディスタンスは90年代に逆戻りする可能性が。当然プロたちから批判が噴出している。

20年ウィングドフットで開催された全米オープンを飛距離でねじ伏せ「ゴルフが違うゲームになってしまった」とベテランたちにいわしめ、現在LIVに所属するブライソン・デシャンボーは「1000パーセント反対だ」とLIVのツーソン招待前に断固容認しない姿勢を示した。

「より遠くに飛ばす方法を見出そうと懸命に努力してきた我々に大きなハンデを与えることになる。ゴルフというゲームに対して可能な限りもっとも残酷なことだと思う」

パンデミックの最中、血の滲むような鍛錬を自らに課し体を大きくし筋肉の鎧を身につけメジャー勝利を勝ち取ったデシャンボーはさらなる高みを目指し世界ドラコン大会にも出場。トップ8入りを果たすなど飛距離にこだわり続けていた。

そのせいで満身創痍。腕、背中、腰も痛めLIVの個人戦では10位タイが最高。その上ボール規制が実現したら身を粉にして取り組んできたことが報われなくなってしまう。

画像: 度重なるボールの性能規制に、努力で飛距離アップしてきたJ・トーマス(左)、B・デシャンボー(右) )の意見は?

度重なるボールの性能規制に、努力で飛距離アップしてきたJ・トーマス(左)、B・デシャンボー(右)
)の意見は?

PGAツアーでもジャスティン・トーマスが「正直がっかりだ。USGAはこれまでもゲームを改善するのとは逆方向の改悪をおこなってきたが今回は間違いなく利己的な決定」と発言。

ボール規制がかかるのはエリート競技者の大会だけでアマチュアは従来のボールを使用できることに関しても「ゴルフの楽しみの1つは僕たちがプレーするボールとまったく同じボールで(アマチュアが)プレーできるということ。プロショップ(ゴルフショップ)に行ってスコッティ・シェフラーが使っているのと同じボールを購入することができる。それが醍醐味なのに」と持論を展開した。

また大会によってはボール規制が採用されない場合もあり、たとえばメジャーでも大会ごとに従来のボールが容認されたりロールバックが採用されたりといった現象が起こりかねない。

シャフラーの親友でツアー4勝のサム・バーンズは「バカげている」とバッサリ。「ギャラリーは飛ばない選手を見に来るんじゃない。350ヤード飛ばす選手を見たいと思っているんだ」

今後の展開が気になる。

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