昨年の全米女子アマは馬場咲希が優勝し、日本人としては37年ぶりとなる快挙を達成し、日本オープンでも蟬川泰果が、アマチュアとして95年ぶりの優勝を果たし、22 年はアマチュアの活躍に注目が集まった。
そんななかで耳にする機会が多かったのが、「世界アマチュアランキング」という言葉だ。
それは、どんなシステムでランク付けされているのか、疑問を持ったゴルファーも多いことだろう。
「世界アマチュアランキング」は、07年にR&Aが男子のランキングをスタートし、11年にはUSGAが主催するアマチュア大会の出場資格に取り入れることを発表、同年には女子のランキングもスタートした。
ランキングの対象となるのは、世界の104カ国で開催されるプロとアマチュアの5500を超える試合で、102カ国の7500を超えるプレーヤーがランク付けされている。
そのシステムは世界ランキングのシステムと共通点が多い。
世界ランキングと同様に 過去2年間の成績をポイント化
過去2年間の試合結果を対象とし、フィールドの強さによって獲得できるポイントが変わり、獲得したポイントの合計を試合数で割った平均ポイントでランク付けされるのは、世界ランキングと同様だ。
また直近の試合結果を重視するのも世界ランキングと同じだ。
世界アマチュアランキングの場合は、試合から1年が経過すると獲得したポイントは毎週約2%ずつ減少していく(世界ランキングの場合は14週経過後から毎週約1.09%減少する)。
各試合の獲得ポイントはフィールドの厚さ=「パワー」という値で変わる。
パワーの値は出場者のランキングによって決まり、プロの場合は世界ランキングが使用される。アマチュアのみの試合ではパワーが1000を超えることはなく、プロの試合では3000を超えることもある。
ランキングは、2年間に獲得した合計ポイントを出場した試合数で割った平均ポイントで決定される(ランキングで表示される平均ポイントは「合計ポイント÷試合数×100」になっている)。ちなみにパワーの値が1000の大会では優勝者は25ポイントを獲得できる計算だ。
試合数にミニマムが設定されているのも世界ランキングと同様で、男子は「8」、女子は「7」でそれ以下の場合はこの数値で割ることになる。
世界ランキングの算出法は、以上のようにかなり複雑なシステムだ。
そこで現在、世界3位にランク付けされている日本の馬場咲希のポイントを見てみることにしよう。
昨年の全米女子アマで馬場が獲得したポイントは約23ポイント。大きな大会だけあり多くのポイントを獲得した。
馬場は全米女子アマ優勝よりプロの大会でポイントを増やした
馬場は昨年、関東女子アマでも優勝しているが、こちらは12.5ポイント強なので、同じ優勝でもおよそ半分ほどしか獲得できていない。
しかし、全米女子アマ以上のポイントを獲得した大会もある。それが日本女子オープンで、馬場は11位タイの成績だったが、それでも全米女子アマを上回る26ポイント強を獲得している。
また「パワー」の値は、全米女子アマが約890なのに対し、日本女子オープンは約3077。
プロの大会のフィールドの厚さがいかに高いかがわかる。
そして馬場が20ポイント以上獲得した大会がもうひとつある。
それが大王製紙エリエールレディスオープンで、こちらも15位タイの成績で20を上回るポイントを獲得した。
世界アマチュアランキングの主な歴代ナンバー1は?
プロの大会では、たとえ予選落ちをしても大きなポイントを獲得できるので、ランキングを上げるには、アマチュアの大会だけでなく、いかに多くプロの試合に出場できるかがカギを握っているとも言えるだろう。
さて歴代のランキングナンバー1を見ると、ツアーで活躍しているトッププロの名前が多いのがわかる。アマチュアランキングの上位選手の顔ぶれを見ていれば、近い将来のツアーの勢力図が見えてくる……そんな視点でランキングに注目してみるのも面白いだろう。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年3月28日号「『世界アマチュアランキング』ってどうやって決めているの?」より