多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏は「クラブ選びは重心選び」と表現する。最新のギアを計測・分析するなかで、注目データをピックアップし、読み解く。今回はキャロウェイの「パラダイム」ドライバー。クラブ選びの参考にどうぞ!
画像: 【試打クラブスペック】●ロフト角/10.5度 ●ライ角/57.0度 ●ヘッド体積/460cc ●価格(税込)/8万6900円 ※すべてメーカー公表値

【試打クラブスペック】●ロフト角/10.5度 ●ライ角/57.0度 ●ヘッド体積/460cc ●価格(税込)/8万6900円 ※すべてメーカー公表値

キャロウェイの最新ドライバー『パラダイム』を紹介する。試打・計測用クラブ、および計測用ヘッドはロフト角10.5度、シャフトはメーカー純正『ベンタスTR NVY 5 for Callaway(フレックスS)』仕様。掲載する数値はすべて実測値になる。

クラブの長さは45.0インチと最近ではやや短めに感じるが標準的で、クラブ重量も305.6gと標準的だが、スウィングウェイトがD3.0と大きいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメント(MOI)が291万g・㎠とやや大きくなっている。

この数値だと、本来はドライバーのヘッドスピードが45m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振りやすい設計といえるだろう。

兄弟モデルの『パラダイムX』よりも横幅が狭いヘッドで、全体的にはよりオーソドックスな形状。バルジ(トウ・ヒール方向の丸み)が少ない、いわゆる平らなフェースで、かつ小さなFP(フェースプログレッション)値で球をつかまえたいイメージが出ている。

とはいえ、米国モデルらしいアドレスでの1.0度オープンというフェースアングルと、『パラダイムX』よりもフラットなライ角(57.0度)で、球をつかまえ過ぎるイメージを消している。リアルロフト角が9.2度と表示ロフトの10.5度よりもかなり小さいのも特徴だ。

実際に試打したところ、試打クラブのシャフトは軟らかめの設計ながらも振りやすく、ヘッドスピードが40m/sくらいのゴルファーならこのフレックスSで十分だろう。左右方向のヘッド慣性モーメントは5346g・㎠と大きく、ミスヒットに強い

〝寛容性〟という観点では正直、兄弟モデルでドローバイアスの『パラダイムX』が5197g・㎠なので、より良いといえるだろう。同時にヘッドのネック軸回り慣性モーメントも8548 g・㎠と非常に大きいので、基本的にはダウンスウィングでのヘッドの返りが緩やかなヘッドで、球がつかまり過ぎるということはない。

またフェース面のスイートスポット(SS)位置がフェース中央よりも少しトウ側に来るので、ストレート~ 軽いフェード系弾道が打ちやすいヘッドと言える。

ヘッド重量は202.1gと重く、かつリアルロフトが9.2度と非常に小さいので、ボール初速は出やすい。目玉テクノロジーである"360度カーボンシャーシ”ヘッドにより、カーボンの比率が大きい複合ヘッドなので、好みは分かれるが、かなりインパクト音が低くなっている。

また、リアルロフト角が非常に小さいため、普段からある程度、球を上げられる人でないと、10.5度のモデルを使うのは厳しいかもしれない。

画像: 低重心率は63.1%と標準的。ヘッド重量が202.1gと重く、リアルロフトが9.2度と非常に小さいので、ボール初速が出やすい

低重心率は63.1%と標準的。ヘッド重量が202.1gと重く、リアルロフトが9.2度と非常に小さいので、ボール初速が出やすい

これが「パラダイム」ドライバーの計測データだ!

フェースアングルは1.0度のオープン。FP(フェースプログレッション)値は小さいが、57.0度とフラットなライ角とオープンなフェースアングルにより、アドレスでは球をつかまえ過ぎるイメージはない。

またリアルロフト角は9.2度で非常に小さい。202.1gの重ヘッドと非常に小さいリアルロフト角で、初速が出やすい設計。とはいえ、9.2度はかなりロフト角が立っているので、球が上がらない人には厳しいといえる。

重心距離は42.3ミリと 非常に長く、スイートスポット位置もフェースセンターよりややトウ側にあるので、フェード系弾道が打ちやすくなっている。

画像: クラブの長さが45.0インチと標準的だが、最近ではやや短めだ

クラブの長さが45.0インチと標準的だが、最近ではやや短めだ

※週刊ゴルフダイジェスト2023年4月4日号「松尾好員のヘッドデータは嘘つかない!」より

各ドライバーのヘッドデータが比較できる、キャロウェイ ドライバー図鑑はこちら

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