ジョン・ラームの優勝で幕を閉じた2023年マスターズ。ローアマを獲得したのは、初日、2日目と2日連続で4アンダーの「68」をマークし、第3ラウンドではブルックス・ケプカ、ジョン・ラームと最終組を回った22年全米アマ覇者のサム・ベネットだ。
画像: 表彰式でお母さんと一緒にローアマのシルバーカップを手にするベネット

表彰式でお母さんと一緒にローアマのシルバーカップを手にするベネット

アマチュアでただひとり予選通過

テキサスA&M大の23歳、サム・ベネットは、昨年の全米アマを制覇した。

「夢が叶った。嘘みたいな気もするし、何と言えばいいか分からない。トロフィーにはタイガー・ウッズの名前も刻まれている。そこに僕の名前も加わるなんて、本当に光栄なこと」と喜んだ。

全米アマの勝利で今年のマスターズの出場権を手に入れると初日、1番パー4でいきなりバーディを奪う。続く2番パー5ではチップインイーグルと絶好の滑り出し。6番パー3でもバーディを奪い、初日「68」と好発進。

ラウンド後は仲間たちからのメッセージが止まらず、「スマホの電源を切って眠った」という。翌日も、5バーディ、1ボギーと、連日4アンダー、「68」をマークして決勝にコマを進めた。今大会には7人のアマチュアが出場したが、予選を通ったのはベネットひとりだけだった。

「みんなが『ローアマを獲れるといいね』と言ってくれたけれど、僕はとにかく良いラウンドをしたかっただけ。自分が良いプレーをすれば、ここで戦えると思っていた」。

画像: 初日、2日目と連日「68」をマークして上位争いに顔を出した

初日、2日目と連日「68」をマークして上位争いに顔を出した

パトロンたちも拍手で応援

マスターズでのアマチュア選手の最高成績は1956年のケン・ベンチュリーの2位。また、アマチュア選手によるメジャー制覇は、1933年全米オープンでのジョニー・グッドマンのみ。

ベネットは第3ラウンドでブルックス・ケプカ、ジョン・ラームと最終組を回り、一時はマスターズ初、メジャーでも90年ぶりのアマチュア優勝が期待された。

しかし、プレッシャーからか、出だしから連続ボギーを叩き、悪天候のため6ホール終了時点でサスペンデッド。日曜に再開された残りの第3ラウンド終了時には、首位と7打差の7位タイまで順位を落とした。

「ラームとケプカと一緒に回れたのは素晴らしかった。パトロンの応援もとても温かく、歓迎されていると感じました」

最終ラウンドはコリン・モリカワとのペアリング。1番ティーイングエリアで彼の名がコールされるとパトロンたちから拍手と大歓声が巻き起こった。

実はベネットの左腕には若年性アルツハイマーで2年前に亡くなった父の言葉がタトゥーで入っているという。それは、“Don’t wait to do something”、「何かをするのに待つ必要はない」。

マスターズでローアマを獲得し、のちにチャンピオンになった選手は2011年のローアマで、2021年覇者の松山英樹で7人目。ベネットが8人目になる日もそう遠くないだろう。

「本当にまた戻ってきたい」。ホールアウト後にベネットは締めくくった。

画像: 最終日はコリン・モリカワと一緒に回った

最終日はコリン・モリカワと一緒に回った

写真/Blue Sky Photos

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