シニアツアーで10年間、シードを持ち続けている清水洋一プロをご存知か。経歴は一風変わっているが、ツアープロ人生の戦績を見ると「しぶとい」。地味? いや、清水プロにこそ、ゴルフや人生の学びがありそうだ。 
画像: 50歳でシニアツアー入りした清水洋一。以来、10年の間、シード権を維持している

50歳でシニアツアー入りした清水洋一。以来、10年の間、シード権を維持している

34歳でプロ入り、36歳でチャレンジ優勝、現在還暦のシニアプロ

清水は高校卒業後、27 歳までイトーヨーカドーのスポーツ用品売り場で働いた。

「この頃は月1ゴルファー。でも仕事前に早朝練習に行ったりしていたら、もっとゴルフしたくなって。サラリーマンをやめました。そのうち練習場連盟のアシスタントプロ研修会を紹介され、入会テストに1発合格。練習しながらレッスンを始めた。プロなんて考えてなくて、単に楽しかったんです」 

このときが一番練習した。そして32歳でPGAのプロテストに初挑戦。周りは当然年下ばかり。尾﨑智春や小山内護、D・チャンドがいた。

「確実に受かりそうな人が落ちて。運と言うんですかね。僕、緊張しないんです。なんとかなるだろうという考え方なので」

3回目の挑戦で受かり、34歳でプロとなった。

「QTの1年目は4次で落ち、翌年の5次上位の資格でチャレンジ(当時グローイングツアー)に出られた。9月の大会で最終日にいいスコアが出て、最終組の1時間くらい前に上がって待ってたら後ろが全然伸びなくて、勝っちゃたんです(後楽園カップ)」 

流れに乗れる、運を引き寄せる男にはなにがあるのだろうか。

「でもその年、最終戦で逆転されて3万円差で4位。レギュラーには出られなかった」 

あせらず、くじけず、あきらめず。それからもずっとチャレンジツアーでシードを取り続ける。

「(レギュラーの)QTは、10年くらいファイナルには行ってます。意外にすごいでしょう(笑)」 

最も過酷と言われるQTに関しても、

「楽しくはないけど、いつものゴルフができるかどうか。僕は意外にできるんです。最終的に上にいければいい。この選手は上にいく、この選手はムリだと見ているとわかります」

周りを冷静に観察している。これが強みなのだろう。 

50歳になってシニアツアーの初QTは見事5位。

「まだチャレンジと掛け持ちしていました。若い選手から刺激も受けられる。シニアの予選会では、パーンと打ったら『すごい球を打つ』と言ってもらえましたね」

以来、一度もシニアのシードは落としていない。

「1度33位だったことがあるけど、そのときは34位がカットで(笑)。でも、27歳までゴルフを真剣にせずに来たから今があるのかなと思います」

ポジティブ思考というより脱力思考。これが運を手繰り寄せる。

ショットもアプローチも極力シンプル。道具にも頼る

30代には週5、6回のペースでレッスンしていたという清水。現在もレッスンは続けている。

「義理の両親に、どうやって生活してるの? と言われたことがありますが、レッスンのおかげで何とかやってこられました。シニアになってからはそこそこ賞金も稼げたので生活的にはラクに。試合は楽しいので離れたくないけど、お客さんとのつながりもあるし、教えながら自分もこうやったらいいよな、と勉強になるんです」 

人に教えるのは難しいが、それぞれの違う感性や受け取り方を考えながら、言い方を変えて伝えていくという。そんな清水自体のゴルフはどう培われたのだろう?

「最初は雑誌などの見よう見まね。一番参考にしたのは湯原(信光)さん。綺麗だなと思って。でも当初は“腕の振り”しか考えてなかった。体を使うことに取り組んだとき、振る感じが変わりました。手先を使わなくなったんです。また、30代の頃は腰を切って回転させて振っている感覚でしたが、今は腕の動きと体の動きのバランスを意識するようになりましたね。僕はケガにつながるのであまりスウィングをいじりません。結局自分が振りやすいことが基本です」 

画像: 湯原信光プロのスウィングを参考にしていたという清水。現在の飛距離は250ヤードを誇る

湯原信光プロのスウィングを参考にしていたという清水。現在の飛距離は250ヤードを誇る

現在の飛距離はキャリーで250ヤード。ミート率は安定して1.5出る。元々スピン量が少ないのでよく転がるともいう。

「僕はコース育ちではないので、バンカーやパターはすごく下手。パターが上手かったらもっと優勝できたかなあと。イップスみたいに手が痺れたこともあります」 

しかし、自分の“伸びしろ”も感じている。

「まだまだ、ここが上手くなればやっていけるというのはある。最終的にはショートゲームです。シニアはそこまでシビアなセッティングではないので、技を増やしたいというより、どこからでも簡単に寄せることが大事。極力シンプルにやりたいですし、それをもっと安定させたい。アプローチは54度でピッチ&ラン、58度で上げるのが基本です」 

的確な自己分析のなかから選ぶスタイルがある。

「道具にも頼りたい。シャフトは軟らかく、ヘッドもやさしめにシフトしてもいいと思っています」 

自身も上達してきたシンプルな“教え”を聞こう。

清水洋一が考えるシンプルゴルフ(まとめ)

「グリップは今のクラブではフェースが開きづらいフックグリップにしたほうがいい。軌道よりフェースの向きが大事。スライスする人は必ずフェースが振っていくほうに対して開いています。また、体を使って『振る』ことも忘れずに。アプローチは少し手前からソールを意識して、マットや芝の上を『擦する』感じで打つ。実はFWもUTも同じ。芝を擦っていれば勝手にフェースに当たり、ロフトがあるのでボールは上がります」

画像: グリップはフックグリップ

グリップはフックグリップ

シンプルゴルフ1 フックグリップがいい

「フックグリップは手先で打つと左にいく。手先を意識せず振っていけるほうがフェースが真っすぐに戻ってきやすいです」

画像: 「ボールを投げる感覚」でクラブを振る

「ボールを投げる感覚」でクラブを振る

シンプルゴルフ2 ボールを投げる感覚がいい

「力ではなく筋肉のつながりを使って『振る』。ボール投げの感覚で、左足から動いて、腕は一番最後にくる順番です」

画像: ゴルフスウィングは「手が体の前から外れないように振ること」

ゴルフスウィングは「手が体の前から外れないように振ること」

シンプルゴルフ3 手が体の前から外れないように振る

「腕と体の動きのバランスを取るには、グリップエンドが左腹部を刺しながら動くイメージで振るといいです」

画像: フィニッシュのイメージは、素振りのフィニッシュ

フィニッシュのイメージは、素振りのフィニッシュ

シンプルゴルフ4 素振りのフィニッシュを意識して振ること

「素振りで『振ろう』とすると、皆きちんと体を順番に使えるはず。フィニッシュでも足を踏ん張れるし、しっかり立てます」

画像: 「ウェッジはAWとSWの2本で十分です」(清水)

「ウェッジはAWとSWの2本で十分です」(清水)

シンプルゴルフ5 アプローチはソールを滑らせる感覚で

「アプローチはソールを滑らせればフェースにボールが乗る。シャフトを誰かに持ってもらい、その下を通すように打つとボールをムリに上げようとしなくなる。また、ウェッジはAWとSWの2本で十分。同じ打ち方でクラブを替えるほうがシンプルです」

(還暦インタビュー・後編へ続く)

THANKS/西大宮ゴルフガーデン PHOTO/Yasuo Masuda

※週刊ゴルフダイジェスト2023年4月18日「清水洋一 還暦の伸びしろ」より

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