昨年の全米女子アマを制した馬場咲希さんを、中学1年から指導しているのがプロコーチの坂詰和久(さかづめかずひさ)、通称『わきゅう』だ。坂詰コーチと20年以上の付き合いがあるベテラン編集者Oが、謎キャラコーチの気になる話を聞き出す! 今回は「ミスのパターン」がテーマだ。
画像: Tポイント×ENEOSを制した青木瀬令奈の優勝スコアは17アンダー。ツアーで勝つにはこの爆発力が必要だ、と坂詰コーチは言う(Photo/Shinji Osawa)

Tポイント×ENEOSを制した青木瀬令奈の優勝スコアは17アンダー。ツアーで勝つにはこの爆発力が必要だ、と坂詰コーチは言う(Photo/Shinji Osawa)

よくあるのは攻めすぎのミス

O編 わきゅうが選手のキャディをやるときには、キャディに徹して、試合中は技術的なことを言わないって言ってたけど、コーチとしてはどんなところを見ているの? 

キャディをやっていると、選手の問題点というか、直したほうがいい部分や、練習すべきポイントが見つかったりすると思うんだけど?

坂詰 そうですねぇ……。この選手は、どんなプレーをするんだろうとか、どんなパターンでミスをするんだろうとか、そういうところはよく見ていますね。

技術的な部分はすぐには直りませんけど、考え方やマネジメントのミスというのは、比較的簡単に修正できますから。

O編 たとえば?

坂詰 よくあるのは、攻めすぎのミスです。グリーンの左ギリギリに切ってあるピンを狙いにいってグリーンの左に外すとか、ピンが奥に切ってあるパー5の2打目をスプーンで突っ込みすぎてグリーン奥に外すとか。

O編 あぁ、難しいアプローチが残るミスだね。

坂詰 そこで失う1打は、考え方ひとつで避けられるわけです。だから、そういうミスをしたときには、その日のうちに「あそこはピンにいかなくてもよかったね」とか、「あのパー5で、バーディを取ってる選手は、手前からいってるよね」って話し合うようにしています。そのミスを止められなかった自分への反省も込めて。

O編 それで、同じミスを繰り返さないようにするわけだね。

坂詰 それで1打減らせるなら大きいですからね。

O変 確かに、攻めすぎのミスが多い選手だったら、それを1日1つ減らすことができれば、1年で何十打も減らせることになるもんなぁ。

丁寧にいきすぎるのもよくない

坂詰 計算上はそうなるんですけど、そう単純にもいかないんですよ。逆に、丁寧にいきすぎるのもよくないですから。

O編 どういうこと?

坂詰 ミスを怖がって、丁寧にいきすぎると、攻めるべき場面で攻め切れなくなっちゃうわけです。

O編 あぁ、それだと、大きなミスは減らせても、スコアを伸ばせなくなるってことか。

坂詰 はい。それじゃ、今のツアーでは勝てないんですよ。だって、今年のTポイント×ENEOSトーナメントの優勝スコアなんて、3日間で17アンダーですからね。攻めるべきところは攻めていかないと。

O編 攻めるべきところって?

坂詰 たとえば、ショートアイアンやウェッジを持ったら、多少ピンポジションが厳しくてもピンを狙うべきだと、ボクは考えてるんです。ツアーに出ているプロなら、そのくらいの精度はあるし、そのための練習もしているわけですからね。

だから、いいライからショートアイアンを持ったのに、弱気になってグリーンセンターに打っていったりしたら、後で「あれは狙うべきだったよね」って、話し合うようにしてます。

O編 攻めと守りのバランスが大切なんだね。

坂詰 その攻めすぎ、守りすぎがいつもなのか、たまたまなのかって問題もあるわけです。ボクも毎週キャディをやっているわけじゃないから、そこはわからない。だから、選手や帯同キャディとよく話し合って、問題点をクリアにしておくんですよ。

アマチュアは攻めすぎのミスを減らしていきたい

O編 そう考えると、アマチュアの場合は、攻めすぎてスコアを崩している人は多いよね。ピンを無理に狙って、グリーン奥やピンサイドに外すだけじゃなく、自信のないティーショットもイチかバチかドライバーで打っちゃうし、ライが悪くてグリーン周りが難しくてもグリーンを狙っちゃうし……。

坂詰 まぁ、それもアマチュアゴルフの醍醐味だと思うんですよ。それでミスをしても収入が減るわけじゃないし、そのショットを成功させたら気持ちがいいわけですから。

でも、もし、もっといいスコアで回りたいとか、ハンディを減らしたいとか、シングルになりたいというのであれば、攻めすぎのミスは減らしていきたいですよね。

O編 自分が攻めすぎているって気づいていない人も多いよね。

坂詰 その場合は、上級者の人と回って指摘してもらえばいいと思います。アマチュアの場合、ほとんどの人が無理をしているから、いくつも指摘してもらえるはずです。

O編 それを次回のラウンドに生かしていくわけだね。

坂詰 そうですね。自信のないティーショットは刻む。グリーン周りに崖や深いバンカーや池があって、自信のない番手で打たなくては届かないようなときは、グリーンを無理に狙わず、次打で寄せやすいところに置いておく。グリーン奥とピンサイドには外さないようにする。それらを心掛けるだけでも、スコアは何打も縮められるんじゃないでしょうか。

※週刊ゴルフダイジェスト2023年4月25日号「ひょっこり わきゅう。第13回」より

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