好天に恵まれた浜野GCの気温は23度を越え、汗ばむような一日になりました。ただ4メートル前後の風が吹いたこともあり、グリーンは硬く、スティンプメーター11フィートのスピードよりも速く感じます。その理由は名匠井上誠一設計の受けグリーンにあります。手前から奥へと受けている傾斜になっているためピンをオーバーすると速い下りのパットが残り、ピンハイでも曲がるラインが残るのでバーディを奪うにはピンに対してフラットか上りの真っすぐのライン、いわゆる”ゼロライン”を残すこと、つまり手前からがセオリーになります。
井上誠一設計の浜野GCはピン手前から攻めることがセオリー
そのセオリー通りに攻めたのが2位タイで終えたフェービー・ヤオ選手。キャディを務めるのはヤオ選手が使用するシャフトメーカー「シンカグラファイト」のスタッフ辻垣内柾好(つじがいとまさよし)さん。好スタートの理由をコース設計者の意図を考えてマネジメントした結果だと教えてくれました。
同じく2位タイの葭葉ルミ選手は、ロフト角28度の6番UTを投入しウッド系を6本、アイアンは7番からという飛ばし屋らしからぬセッティングに、パットが決まります。その6UTは182ヤードの17番パー3でピンそばにピタリと寄せ見せ場を作り、最終18番パー5でもバーディを奪い7バーディ3ボギーで初日を終えました。
スウィング改造を軌道修正し、新たなスウィングに取り組む稲見萌寧
今日注目したのは、原英莉花、稲見萌寧、山下美夢有の注目組の稲見萌寧選手です。オフに取り組んできたスウィング改造の成果を開幕戦で確認していましたが、少し前から軌道修正し元のフェードイメージのスウィングを新たに作り直している最中だといいます。しかし、2戦連続で予選落ちの後、コロナ感染のため2週ぶりの出場となっています。
オフに取り組んできたスウィングは体に負担が少なく、フェードの曲がり幅を少なくするものでした。クラブの軌道はほぼストレートな軌道に変わっていましたが、フェードだけでなくドローすることもありコントロールすることが難しくなっていたようです。元々フェードボールを磨いて実績を残してきていたので、もう一度フェードのスウィングに戻しているとのこと。
実際にプレーを見て歩きましたが、ショット自体はコントロールされたフェードボールが戻ってきていました。ただ病み上がりで、隔離状態でクラブも握っていなかったこともあり距離感を合わせることに苦労していました。
ストレートからインサイドに抜けるクラブ軌道になるように、シャドースウィングを繰り返してから打つルーティンを取りいれています。一度改造したスウィングを元に戻すというよりは、距離の落ちないフェードボールを打てるように進化させることに取り組んでいるようです。初日はノーバーディ3ボギーの3オーバー78位と出遅れましたが、明日以降ゲーム感や距離感を取り戻していくことでしょう。オフに取り組んだ改造もそこからの軌道修正も思い切った決断だと思いますので、引き続き注目していきましょう。
同組の原選手は、3バーディ1ダブルボギーの1アンダー23位タイでフィニッシュ。相変わらずの飛距離を武器に、硬いグリーンでもボールを止められるのは大きなメリットになっています。ただ飛距離が出るとラフに入る確率も高くなるので、ホールに合わせたマネジメントがカギになるでしょう。
最後に山下美夢有選手は、1バーディ2ボギーの1オーバー54位タイで終えています。3週前に優勝してはいますが、まだまだ本調子ではなさそうです。昨年も今大会まで3試合連続で予選落ちのあと、次週の「ワールドレディスサロンパスカップ」で優勝してから躍進を遂げました。調子が悪い中でも1オーバーで終えているので、エンジンがかかってきたら常に優勝争いしてきそうな底力が見えます。
明日も今日と同じように天気は良さそうですが風は少し強くなる予報です。硬く速いグリーンに対するマネジメントが上位進出のカギになりそうです。しかし、日曜日は雨と風も強くなる予報なので、一体どんな展開になるのか。引き続き注目していきましょう。