多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏は「クラブ選びは重心選び」と表現する。最新のギアを計測・分析するなかで、注目データをピックアップし、読み解く。今回はキャロウェイの「パラダイム♦♦♦」ドライバー。クラブ選びの参考にどうぞ!
画像: 【試打クラブスペック】●ロフト角/10.5度 ●ライ角/57.0度 ●ヘッド体積/450㏄ ●価格(税込)/9万6800円 ※すべてメーカー公表値

【試打クラブスペック】●ロフト角/10.5度 ●ライ角/57.0度 ●ヘッド体積/450㏄ ●価格(税込)/9万6800円 ※すべてメーカー公表値

米PGAツアープロが好む洋梨形状

今年のマスターズで、優勝したジョン・ラーム。" プロトタイプ" を使用するプロが多いなか、ラームは今回紹介するキャロウェイ『パラダイム♦♦♦ ドライバー』の10.5度を使用中だ。

早速、試打、計測していく。試打・計測用クラブ、および計測用ヘッドはロフト角10.5度、シャフトはメーカー純正『テンセイ55 for Callawy(フレックスS)』仕様。掲載する数値はすべて実測値になる。

クラブの長さは45.13 インチと今年発売モデルのドライバーではやや短めに感じるが、もう少し長い目でみると標準的。

しかし、クラブ重量309.4gとやや重く、スウィングウェイトもD4.3と非常に大きいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが293万g・㎠と大きくなっている。この数値だと本来はドライバーのヘッドスピードが46m/s ~ 47m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振りやすい設計と言えるだろう。

4機種がラインナップされる『パラダイム シリーズ』で、ノーマル『パラダイム』よりもヘッドの横幅が狭く、やや小ぶりなヘッドで、米PGAツアープロが好む洋梨形の形状。4兄弟の中ではフェースプログレッションが大きく、アドレスで強いオープンフェースとフラットなライ角で、球をつかまえ過ぎないイメージが特徴だ。

画像: ライ角が57.0度とフラット。またSS位置がトウ寄りにあるため、ボールにフェード系回転がかかりやすくなっている

ライ角が57.0度とフラット。またSS位置がトウ寄りにあるため、ボールにフェード系回転がかかりやすくなっている

左に行くイメ―ジがまったくない。叩きにいけるドライバー

実際に試打したところ、フェースアングルが2.0度オープンと強いオープンフェース、57.0度とフラットなライ角、そして丸みを帯びたトウ側の逃げ感など、左に行くイメージがまったくない。また、4兄弟の中ではフェースの丸み(バルジ)が綺麗なことも特筆すべきポイントだ。

試打シャフトは適度なしっかり感でインパクトの再現性もいい。435㏄という小ぶりヘッドということもあるが、4兄弟の中では左右方向のヘッド慣性モーメントが4721g・㎠と最も小さいので、ミスに強いモデルではない。

フェース面のスイートスポット(SS)位置がフェース中央よりもトウ寄りにある”フェードバイアス”ヘッドで、中弾道のフェードが打ちやすいモデル。また、4兄弟の中ではヘッドのネック軸回りの慣性モーメントが7312g・㎠と最も小さいので、ダウンスウィングでのヘッドの操作性が良く、インテンショナルに弾道を操作しやすい。

インパクト音は低いので、インパクト時のイメージとして初速が出ているとは思わないかもしれないが、ヘッド重量が重いので実際はボール初速が出やすく、ヘッドスピードが46m/s 以上のゴルファーが振り切れば、飛距離性能は4兄弟の中では最も高くなるはずだ。

これが「パラダイム◆◆◆」ドライバーの計測データだ!

フェースアングルは2.0度オープン、そして、ライ角は57.0度でフラットということもあり、アドレスでつかまり過ぎるイメージはまったく浮かんでこない。パワーヒッターが叩きにいけるヘッドといえるだろう。

またリアルロフト角は11.2度と標準的。ノーマルの『パラダイム』よりもリアルロフト設定が大きいので、球が上がらないということはない。ロフト角は寝ているが、ヘッド重量が重いので高初速が期待できる。

重心距離は40.4ミリとやや長い。スイートスポット(SS)位置がフェース中心よりもトウ側にあるため、フェード系回転がかかりやすくなっている。SS高さは36.6ミリとやや高いので、低スピンモデルというわけではない。

画像: ヘッド重量が203.2gと非常に重い。スウィングウェイトがD4.3 と非常に大きくヘッドが利いている

ヘッド重量が203.2gと非常に重い。スウィングウェイトがD4.3 と非常に大きくヘッドが利いている

※週刊ゴルフダイジェスト2023年5月9・16日号「松尾好員のヘッドデータは嘘つかない!」より

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