元世界ランク1位のジェイソン・デイが1835日の沈黙を破り5年ぶりツアー通算13勝目を挙げた。13年前記念すべき初優勝を飾ったAT&Tバイロン・ネルソンで家族に見守られ挙げた久々の勝利はちょうど1年前肺ガンで亡くなった母に捧げるV。奇しくも母の日。降ったり止んだりする雨の中、最後は土砂降りに見舞われながらデイは最後まで冷静に勝ち切った。
画像: 雨の中の接戦を制したのはジェイソン・デイ。またひとり強いプロが復活した(写真は2023年 AT&Tバイロン・ネルソン 撮影/Getty Images)

雨の中の接戦を制したのはジェイソン・デイ。またひとり強いプロが復活した(写真は2023年 AT&Tバイロン・ネルソン 撮影/Getty Images)

母の肺ガンが発覚したのが17年。12歳で父をやはりガンで亡くし女手ひとつでデイを育ててくれたデニングさんがガン宣告を受けたとき、デイは涙ながらに会見をおこない試合出場をキャンセルした。持病の腰痛の悪化もあり30代(現在35歳)に入ってからかつての輝きを失い成績も下降した。

「正直もうやめようと思いました。妻にはまだ話していなかったけれどまさにやめる寸前。人生でこんなにストレスがかかった時期はなかったのでここで終わりにしてもいいとさえ本気で思っていました」

タイガー・ウッズに腰痛の相談をし、コーチを変え、スウィングを改造。それでも今シーズンのスタートは世界ランク100位以下でスランプ脱出のきっかけをつかめずにいた。

転機は今年2月のWMフェニックス・オープン。そこでトップ5入りしてから調子は上向き、コツコツと好成績を積み重ねフェデックスカップのポイントランキングも30位台に浮上していた。

しかし優勝経験のある前週のウェルズ・ファーゴ選手権で予選落ち。「スウィングのあれこれを考えることにうんざりしてしまった。だから今週は技術的なことは考えずただゴルフをしよう、と思って臨んだのです」。

すると本来のゴルフ勘が戻り思い通りのプレーができた。3日目を終え4位タイ。その晩は心にさざ波ひとつ立たないほど落ち着いていた。ぐっすり眠り目が覚めるとなぜか「勝つ予感がした」。

前半からバーディを積み重ね、一時、勝てば世界ランク1位を奪還するスコッティ・シェフラーら少なくとも5人が首位に並ぶ混戦模様のなか、最難関の12番でグリーンを外しながらチップインバーディを奪ってトーナメントをリード。終わってみればノーボギーの9アンダー62の猛チャージで1打差の勝利をもぎ取った。

「母のことを思うと涙が出ます。いろいろなことを乗り越えて再び勝てる日がくるとは。とても不思議な感覚です。表には出ないところでただひたすらより良くなるために死ぬほど努力してきました。13回目の勝利を掴むことができて本当に良かった」

やはりスランプに苦しんできたリッキー・ファウラーが世界ランクトップ50に返り咲いたばかり。デイも含め華のある選手が再び表舞台に帰ってきてくれたことはファンにとって何よりの朗報だ。

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