シャフトのしなりは2種類! どちらも感覚的につかむことが大切
最近、釣りの動画にハマっているという北野正之プロ。釣りが趣味というわけではなく、その目的は“しなり”をより深く理解するためだという。釣りは竿をしならせる感覚がなければ、仕掛けを遠くに飛ばすことも、狙った場所に投げることもできないのだ。
「ゴルフも釣りと同じです。プロや上級者が飛ばせるのも、球の高低や曲がり幅をコントロールできるのも、シャフトがしなる感覚を持っているからなんです」
一方、アマチュアはどうか。
北野プロによれば、そのほとんどがしならせる感覚を持っていないという。
そのためボールは飛ばないし、球筋も安定しないのだ。では、シャフトのしなりとはどういうものなのか? 北野プロは、
「クラブは硬い棒ではありません。まずは釣り竿と同じように“しなるもの”と意識することが重要です。これはドライバーだけでなく、アイアンやパターにも必要な感覚です。その意識づけはフレックスRのシャフトやレディスクラブ、シャフトがグニャグニャした練習器具など、軟らかいモノを振るとつかみやすいです」
さらに北野プロは、シャフトのしなりは2種類あり、どちらも感覚的につかむことが大切だという。シャフトのしなりはクラブの動きとは逆に動く「しなり」と、クラブの動きと同じ方向に動く「しなり戻り」がある。
「しなりは感じやすいのですが、しなり戻りの感覚が難しいのです。釣り竿はしなり戻りの動きで仕掛けを遠くに飛ばしています。ゴルフにおいてもしなり戻りをどう生かすかがカギなんです」
シャフトをしならせることでクラブの性能は最大限引き出せる。それが上達への近道となるのだ。
しなりが使えれば、ヘッドスピードが上がり、球筋をコントロールできる
北野プロによると、シャフトをしならせるメリットは大きく3つある。
ひとつはヘッドスピードが上がること。
2つめが球筋をコントロールできることだ。
「アマチュアに覚えてほしいしなり戻りは、手元より前にヘッドが出る動きになります。つまりヘッドが走ります。ロフトは寝やすくなり、フェースは閉じやすくなります。そうするとボールは上がりやすくなりますし、つかまりもよくなるのです。飛んで曲がらないボールが打てるわけです」
最近のドライバーはヘッドが大型化しているため、このしなり戻りが大きなカギとなる。なぜならドライバーはフェースが閉じづらいからだ。アマチュアの多くはしなり戻りができず、シャフトがしなったままインパクトしている。まさに振り遅れ状態。ロフトが立つことでボールは上がらず、フェースが開くことでスライスになるのだ。それを嫌がると手を返し過ぎて引っかけも出るという。
「しなり戻りが重要ですが、しなりも不可欠です。低く打ち出すアプローチやスピンをかけたいカット打ちなどは手元を先行させ(ハンドファースト)、しなったままインパクトさせます。しなりを使えば、球の高低や曲がりなど球筋をコントロールできるんです」
3つめのメリットは、タイミングが合うことだ。
「打ち急ぎ、振り遅れという言葉があるように、ゴルフにもタイミングが求められます。このタイミングとは、シャフトのしなる動きに合わせることなのです。ゴルフで難しいとされるトップからの切り返しでも、シャフトがしなり戻る瞬間がベストタイミングになります。当然、シャフトのフレックスによって変わるわけです。ですから、しなり戻りの意識や感覚がなければ、タイミングが合うはずもないのです」
北野プロは自分が中心ではなく、クラブの動きに合わせることを考えるべきだとアドバイス。
シャフトのしなり、しなり戻りを感じ、それを生かすことでスウィングは大きく変わるのだ。
TEXT/Kenji Oba PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/サザンヤードCC
※週刊ゴルフダイジェスト2023年5月30日号「『シャフトをしならせる』この意識でスウィングは変わる」より