ツアー解説でおなじみの佐藤信人プロ。今回は日本ツアーでも活躍したオーストラリア人選手、ブレンダン・ジョーンズについて語ってくれた。
画像: 「ゴツッという感じの独特のインパクト音は、普通よりも溝1本くらい上に当てるから?インパクトの音で『ブレンダンがいる!』とわかる選手です」by佐藤信人(Photo/Tadashi Anezaki)

「ゴツッという感じの独特のインパクト音は、普通よりも溝1本くらい上に当てるから?インパクトの音で『ブレンダンがいる!』とわかる選手です」by佐藤信人(Photo/Tadashi Anezaki)

日本ツアーで20年以上プレー、ツアー通算15勝のB・ジョーンズ

3月のアジアンツアーのニュージーランドオープンで、約4年ぶりの優勝を果たしたのがブレンダン・ジョーンズです。その週の金曜日は3月3日のひな祭りで、ブレンダンにとっては48回目の誕生日。年々、一緒に回ったことのある選手が減っていくなかで、彼の優勝は自分のことのように嬉しく感じています。

日本ツアーで20年以上プレーし、ツアー通算15勝は外国人選手としてはグラハム・マーシュに次ぐ優勝数で、外国人選手初の10 億円プレーヤーにもなりました。何より、そうした数字以上に、日本ツアーへの貢献度は計り知れません。

ブレンダンといえば、そのゴルフの特徴は飛距離。01年から日本ツアーを主戦場にしましたが、日本ツアーで初めてドライビングディスタンスで300ヤードを記録したのが彼でした。当時、PGAでも300ヤードはジョン・デーリーだけでしたから、そのすごさがわかるでしょう。

僕は、一緒に回った試合のパー3では、絶対に彼の番手を見ないようにしていました。参考にならず迷わされるし、番手の違いを知れば落ち込むに決まっているからです。なにしろ3番手違うときがあったくらいなのですから(笑)。

若い頃はオーストラリアのメディアに、「自分は40歳くらいで引退してその後はセカンドキャリアを楽しみたい」と公言していましたが、今でも現役を続け、今回48歳での優勝です。しかも、手首のケガで大手術も経験し、けして健康であり続けたわけではありません。

また世界ランキング50位以内でのマスターズ出場に2度ほど届きそうになりながら逃してもいます。

最近はプレースタイルにベテランらしい"泥臭さ"を感じる

そんな思いもあっての現役続行なのかもしれません。コロナ禍で2年ほど来日できず、昨年の東建カップに出場した際に、とても嬉しそうな表情をしていたことが思い出されます。昨年は後半粘ってシード権を獲得、それが今回の優勝にもつながりました。

オーストラリア人らしくジョーク好き。飛ばない我々をジョークでときどきちゃかしてきます。そんなときは「あの体でちょっと振れば勝手に飛んでいくんだからいいよなあ」とねたましく思いましたが、今この年になっても一度も筋肉質でスリムな体型が崩れたことがないのを見ると、相当ストイックに努力しているんだろうなと感じます。

昔は性格的にもプレースタイルもあっさりしているように感じていましたが、今はベテランとしての”泥臭さ”も感じます。

ニュージーランドオープンは、オーストラレイジアツアーとアジアンツアーの共催。意外だったのは、今回の優勝が母国ツアーでの初優勝だったこと。ナショナルオープンの初優勝でもありました。ウィニングパットを決めて2〜3秒の間、腕を組んで真顔で下を見て感極まった様子でした。ここ数年を思い出していたのでしょうか。そしてアテスト会場でも泣いていたブレンダン。十分に年輪を感じさせる優勝でした。

おめでとう、ブレンダン! 今年日本でもまた活躍する姿を見たいですね。

※週刊ゴルフダイジェスト2023年5月30日号「うの目 たかの目 さとうの目」より

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