プレーオフになった福岡カンツリー倶楽部 和白コースの18番パー5で岩井姉妹が2打目に握ったのはドライバー。グリーンまでは届かなかったものの二人とも近くまで運び、アプローチを寄せパット勝負に持ち込んだ。
ヨネックスとクラブ契約を交わす2人は、ヘッドもシャフトも異なるモデルのドライバーを使用している。姉・明愛は450CCの慣性モーメントが大きく直進性の高いヘッドにオーソドックスな中調子のモデル。妹・千怜は425CCのやや小ぶりで操作性を求めたヘッドに走り感のある先調子のモデルだ。
似て非なる2人のスウィングだが、スウィング中のフェースの開閉が少ない明愛選手は450、開閉して球をつかまえて飛ばす千怜選手は425を選択。スウィングタイプの違いが、使用モデルの違いになって表れているという。しかしどちらのモデルにも共通するのは、サイドスピン(スピン軸の傾き)を抑える縦に刻まれた溝、ボールを押せるハイバック形状、そして重心距離が長くなり過ぎないようにフェース面をネック寄りに寄せた形状などだ。
しかし、ここで注目したいのは直ドラに効果があったと思われるラウンドしたソール形状。接地面積の少なさが直ドラでも抜けの良さを発揮したのではないか? と考えられる。直ドラ時にソールの接地面積が少ないことはヘッドスピードの低下を最小限におさえてくれるし、ラウンドしたソールはライの影響も受けにくい。
写真Aのように接地面積が少ないのは一目瞭然だが、この写真を撮った際にピンときたのはヘッド単体で置いたときの座りの良さ。ここも注目すべき点だろう。『接地面積は少ないのに、座りが抜群に良い』という相反する性能を、まるでフェアウェイウッドのように備えているドライバーはなかなか見つからないだろう。
接地面積が少ないことに加えて、カーボンクラウンを採用し重心を下げることでボールを上げやすくなるので、低重心であることも直ドラにとってはメリットになるだろう。
ツアーバスでは、ちょうど全米女子オープンに出場する千怜選手のスペアのドライバーを組み上げていたので、詳細なスペックを見せてもらった。ヘッド重量はスリーブ込みで194.4グラムと一般的なヘッドに比べて5グラムくらいは軽量だ。
シャフトは先調子のカイザLを45.75インチになるように装着し、ソールのウェートはヒール側に6グラム、バックフェースに4グラムを装着。グリップはパルマックスの金で下巻きは1枚と記載されている。ヘッド重量が軽量なこともあり45.75インチの長さでもバランスはD1位内には収まっているという。
ここまで来ると、打ってみたくなるのがゴルファーというもの。岩井姉妹と同じスペックのドライバーを作り実際に試打する企画を進行中なので、ご期待ください!