スウィングを作るためにはやっぱり素振りは必要
●軽くでも素振りを行う習慣にしている
毎日必ずゴルフクラブは握る、そして軽くでも素振りを行う習慣にしています。今関心があるのは二重振り子で、押すのではなく引いて引いてのスウィング習得に励んでいます。月2前後のラウンドですが、なるべく感覚、特に良いイメージを維持しておくための素振りは、やはり大切だと考えます。(60代男性、神奈川県)
●素振りなくして上達はありえません
スウィングを作るうえで、最重要とも言えるほどです。まず素振りを連続でやることによって、自分のスウィングアークを知ることができます。手だけで打つのではなくて、ボディスウィングも自然に覚えられます。自分に合うリズム、タイミング、テンポも自然と身につきます。
ですから、私が初心者にまず教えるのは、素振りの方法。ボールを打つのはそれから後の話です。最初からボールを置いて打たせると、ボールにクラブヘッドを当てようと"合わせる"だけになって"振る"というゴルフスウィングにはなりません。ボールに当てようとするだけではヘッドスピードも出ません。スウィングの途中にインパクトはあり、ボールの存在は頭から消してもらうことを素振りで体感してもらうんです。
野球のバッターも素振りでスウィングを作りますが、野球の場合、ピッチャーが投げたボールに反応する動作が必要です。しかし、ゴルフは自分がセットしたボールに当てればいいので、再現性の高いスウィングを身につければ、いつも同じ球筋で打てるようになるはず。ストレートに打つスウィングアークを覚えたら、次はインサイド、アウトサイドから打つ段階へも進め、フック・スライスボールもコントロールできるようになります。素振りの下手な人にゴルフが上手い人はいないというのが、私の結論です。(高橋五月、プロゴルファー)
●素振りで僕がやっていることは2つ
クラブではなく、重めのバットをゆっくり振ること。もう1つがヘッドはカットし、シャフトだけにグリップが付いているクラブを速く振ることです。重いバットをゆっくり振ると遅筋が鍛えられ、パワーを得ることができますし、シャフトだけのクラブを振ることで速筋を鍛えることができ、ヘッドスピードを上げることができるからです。筋肉には2つあって、速筋は収縮が速い筋肉なので、短距離走や重量挙げなど瞬発力のある運動に向いています。遅筋は収縮がゆっくりで長距離走や自転車のロードレースなど持久力を必要とする運動に向いている。
この2種類の筋肉がバランスよく配置されていれば、スムーズにスウィングできる。ただ、バットとクラブは重心の位置が違うので、時にはクラブ、軽いドライバーと一番重いサンドウェッジでの素振りも必要かと思います。ラウンドでの素振りは「どういう球筋を打ちたいのか、イメージする」ためのルーティンで、一生懸命マン振りする性質のものではありません。(タケ小山、テレビ解説者・プロゴルファー)
●無駄な力が抜け落ち、脱力した理想のスウィングが完成していく
確か1980年代、山梨県にある富士ロイヤルCCではヘッドプロ、故森田吉平の指導のもと、20人ほどの研修生たちに「1000回素振り」が毎日、行われていました。そこから出現したのが、PGA公認初代ドラコン王、滝安史でした。無名ながら、ジャンボ尾崎より飛ばし、一躍注目を浴びました。滝は1000回素振りについて「500回頃からグリップの握力がゼロに近くなる。しかし、それからが無駄な力が抜け落ち、脱力した理想のスウィングが完成していくんです」と話していました。(ゴルフライター、70代)
●素振りは三日坊主
素振りが大事とはよく聞き、何度か「毎日やろう」と思い立ちましたが、三日坊主。面白くないんです。ちなみにラウンド中の私のスウィングは「当てにいっている」とよく指摘されます。素振りでスウィング作りをしていないからかも。(60代男性、兵庫県)
家練や室内練習でできる素振りのいろいろ
●10回ノンストップ素振り
スウィング作りに素振りは必須でしょうね。そのスウィングを思い出すためにも、です。僕が推奨するのは「10回ノンストップ素振り」です。マン振りでフィニッシュまでもっていったら、すぐトップに戻してまたフィニッシュまで振り切る。これを10回やれば、バランスを保ちながらタイミングがとれる本来の自分のスウィングを思い出すことができます。
僕は今でもスウィングがちょっとおかしいなと違和感を抱いたら、これをやります。ラウンド前でも、リキんでいるなと思ったらやりますね。10回マン振りすれば、無駄な力が抜けていくのがわかりますよ。もう1つ、ボディスウィングを体感できる素振りを紹介しましょう。それはクラブヘッド側を握ってシャフトだけで振ることです。手の力が抜けて体全体で振っている感覚を体感できますよ。(レックス倉本、ゴルフコメンテーター・プロゴルファー)
●室内ではタオル素振りをときどき
家練で素振りがいいと聞くんですけど、1Kのマンション住まいで、素振りする場所がない。最近は公園で素振りもできませんし、ゴルフクラブを持ってウロウロしていたら通報されちゃいそう。室内ではタオル素振りをときどきします。タオルの先端を結んで、結び目がクルッと回ってフィニッシュで背中につくのが理想だと思っています。(40代女性、東京都)
●素振りは庭でやってほしい……
田舎なんですけど、最近引っ越してきた人が朝晩、近所の田んぼの辺りで素振りをしています。素振りだけならいいんですが、ときどき球も打っているようで、農家の方がボールを拾っています。これではご近所トラブルの始まり。素振りは庭でやってほしい。(60代女性、大分県)
●クラブヘッド側のシャフトを持って振る
素振りは最善のスウィング作り練習法でしょうね。バラバラに作用する左右の手を一体化させ、振る“力”へと転用させる……。その両手の使い方を、箸を使うぐらいまで習慣化させるには素振りがいちばん効果的だと思いますね。
素振りのもう1つの効用は軌道を安定させられること。スウィング軌道が安定すれば、13本の長さの違うクラブが同じように振れます。素振りをするとき、わたしが抱いたイメージを紹介すると……レールの上をシャフトが走っていくイメージ。それに風を切る音を重ねると、気持ちのいい素振りができましたね。ラウンドで緊張したとき、それをほぐす素振りもあります。
クラブヘッド側のシャフトを持って振るんです。緊張するとグリップが固まってヘッドが走りにくくなるんですが、この方法だとヘッドは自然に走るようになりますよ。私たちの修業時代は重いクラブをさらに重くし、素振りすることで体力をつけていました。
それに硬いスチールシャフトをいかにしならせるかが課題でした。重いクラブで体力をつけるというのは"アリ"だと思います。(森口祐子、テレビ解説者・プロゴルファー)
※週刊ゴルフダイジェスト2023年6月20日号「山を動かす~“素振り"ってやってますか?」より