ビバリーヒルズにほど近いロサンゼルスCCを舞台におこなわれた第123回全米オープンゴルフ選手権は過去のメジャーで75位タイが最高とほぼ実績のないウィンダム・クラークが逃げ切って優勝を飾った。同組でトーナメントを引っ張ったリッキー・ファウラーはオクラホマ州立大学の先輩。「憧れの人」を下しツアー2勝目を待望のメジャーで飾ったクラークとそれをアシストしたファウラーの物語。

最終日を最終組でプレーするだけでも「現実じゃないみたい」と語っていたクラークが夢舞台で勝ち切った。市街の一等地にあるコースのため入場制限がかけられたがクラークとファウラーが最終ホールのグリーンに上がると大勢のギャラリーがコースになだれ込み熱狂的な雰囲気に包まれた。

ポーカーフェースだったクラーク。だがウイニングパットを沈めると感情を爆発さて男泣き。同組で優勝を争ったファウラーが2度クラークを抱きしめ耳元で祝福の言葉をつぶやいた。

オクラホマ州立大に数年通ったあとオレゴン大学を卒業したがクラークだが、オクラホマを離れる前に5歳上のファウラーと知り合う機会があった。

「リッキー(ファウラー)はもっとも素晴らしい先輩だった。時間を作って後輩の僕らに会いにきてくれて話を聞いてくれた。プロになってからもメールでアドバイスしてくれたり彼を友達と呼べる自分は本当に幸せだと思う」

今年に入ってから2人は一緒に練習ラウンドをすることが多かった。3月のアーノルド・パーマー招待の前にはファウラーのホームコース、ジュピターアイランド(フロリダ)のメダリストCでラウンド。「こっちは全然なのにリッキーはすべてのパットを決めまくった」。そこで彼は練習グリーンでファウラーのパターを拝借し打ってみると好感触に胸を躍らせた。

ファウラーは1月からオデッセイの「Versa ジェイルバード」を使っており、その場でオデッセイの担当者にクラークが「リッキーのパターを僕のために作ってくれる?」とメール。「スペックはどうする? と聞かれたからリッキーと全く同じがいい、と返信したよ」。

全米オープンではファウラーがシャフトを1/8インチ切って新しいグリップを挿してたと聞きクラークも「真似をする」と憧れの人のパターをコピー。

実際“ファウラーのパター“を使い始めてから成績は劇的に変化した。4月の時点で世界ランク100位台だったためマスターズにも出られなかったが、その直後からベスト10を重ねフィールドの厚い先月のウェルズファーゴ選手権で念願のツアー初優勝を達成した。ジョーダン・スピースやジャスティン・トーマス、ザンダー・シャウフェレらと同じ“クラス11“(2011年に高校を卒業した29歳/30歳の選手たち)の“目立たない方“が最高の舞台で大輪の花を咲かせた。

「リッキーのパターで優勝したっていうのが面白いね」

ローリー・マキロイやスコッティ・シェフラーを振り切った強心臓。また何か大きなことをやってくれそうだ。

画像: 先輩ファウラーの「完コピ」パターで全米オープンを制したクラーク。さらに真似る人が増えそうだ(写真は2023年 全米オープン 撮影/Getty Images)

先輩ファウラーの「完コピ」パターで全米オープンを制したクラーク。さらに真似る人が増えそうだ(写真は2023年 全米オープン 撮影/Getty Images)

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