青木功とジャック・ニクラスが全米オープンで優勝を争った『バルタスロールの死闘』で有名なニュージャージー州の名門バルタスロールGCでおこなわれた米女子ツアーのメジャー、KPMG全米女子プロゴルフ選手権。笹生優花が優勝まで1打と迫った。勝てば21年の全米女子オープン以来となるメジャー2勝目だったが惜しくも2位。それでも破格の94万ドル強(約1億3千万円)を獲得し賞金ランク急上昇だ。

首位に1打ビハインドで迎えた最終18番パー5。17番のバーディパットを決めきれなかった悔しさが笹生のなかでくすぶっていた。「とにかく池に入れないことだけを考えた」ティーショットは手応え十分。2打目はナイスショットだったがグリーンサイドのバンカーに捕まった。

「決してやさしいバンカーではなかった」というが上手く寄せてバーディを奪い通算7アンダーで首位に並びクラブハウスリーダーとなった。

今季は序盤でベスト10に2回入ったものの3月末から5月半ばにかけ4試合連続予選落ちを喫するなど不調だった。6月に入ってようやく調子を取り戻しみずほアメリカズ選手権で7位タイと久々の上位。

2週間休んで迎えた今大会では初日6位タイの好発進。2日目16位タイに後退したものの3日目69にまとめ8位タイに浮上。トップとは5打差あったが最終日に5アンダー66をマークし勝った中国のイン・ルオニオンに1打差の単独2位に食い込んだ。

数々の名勝負の舞台となった難コース。しかも最終日は荒天で中盤2時間の中断を挟む試練の戦いで勝ち切ったルオニオンは18番のティーでリーダーボードを見て「私が1打リードしているのを確認しました。でも最終ホールでサソウさんが素晴らしいバーディを決めて並ばれてしまった。絶対にバーディを獲らなきゃ、という気持ちでプレーしました」と、言葉通りのバーディフィニッシュで笹生を突き放し、今年3月以来となるツアー2勝目をメジャーで飾った。

僅差で敗れた笹生は「素晴らしい1週間でした。2週間お休みをいただいて私のスポンサーであるKPMGのトーナメントでトッププレーヤーと上位争いをすることができて誇りに思います」と胸を張った。

2年前に全米女子オープンでいきなりメジャー勝利を挙げ時の人になってからの道のりは厳しかった。周囲の期待に押しつぶされそうになりゴルフの調子も急降下。ただ苦しいとき「うつむかず前を向こう。私はここにいる資格があるんだ、と自分にいいきかせた」ことでなんとか持ち堪え「ひたすら時期(自分のタイミング)を待った」のだという。

みずほで7位に入ったあと体調を崩し出場を予定していたショップライトをお休み。「1週間以上クラブを握らなかったので(みずほでの良い感触は)全然忘れてしまいました(苦笑)。今週も何が良かったのか正直自分ではわからりません」といいつつ「これからも日々課題に取り組んで成長したい」と前を向いた。

ローリー・マキロイと並び称される力強いスウィングと飛距離は健在。メジャーチャンピオンの重圧に耐え忍んだ2年を経て持ち味の豪快なゴルフが戻ってきた。笹生が再び主役に返り咲く日も近い?

画像: 惜しくも2位に終わったが、調子を取り戻してきた笹生。全米女子オープンに期待がもてる(写真は2023年 KPMG全米女子プロゴルフ選手権 撮影/Getty Images)

惜しくも2位に終わったが、調子を取り戻してきた笹生。全米女子オープンに期待がもてる(写真は2023年 KPMG全米女子プロゴルフ選手権 撮影/Getty Images)

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