女子ゴルフ界にまたひとり新星現る! 昨年のステップ・アップ・ツアー賞金女王の櫻井心那が桑木志帆とのプレーオフを制してレギュラーツアー初優勝を果たした。櫻井は年間女王争いでも8位へ急浮上。今季初優勝に一番近いといわれた大器がひとつの壁を破り、いよいよトッププロへの階段を上り始めた。
画像: 昨年のステップ・アップ・ツアー賞金女王が資生堂レディスを制した(撮影/姉崎正)

昨年のステップ・アップ・ツアー賞金女王が資生堂レディスを制した(撮影/姉崎正)

17番18番の連続バーディで桑木に追いつき、プレーオフを制した櫻井

女子ゴルフの今季国内ツアー第18戦・資生堂レディス最終日が2日、横浜市の戸塚カントリー倶楽部(6605ヤード、パー72)で行われ、19歳の櫻井が通算10アンダーでトップに並んだ桑木志帆とのプレーオフを2ホール目のバーディで制し、レギュラーツアー初優勝を果たした。

桑木は初優勝を逃しての2位、今季快進撃を続ける岩井ツインズの姉・明愛は1打及ばず3位にとどまった。

櫻井に迷いはなかった。プレーオフの2ホール目。櫻井は奥から3メートルのスライスラインを読み切った。カップインの瞬間、初優勝が決定。右の拳を力強く握り、喜びを爆発させた。

「狙ったラインにいいタッチで打てた。絶対入ると信じて打ちました」

見事な逆転劇だった。

首位グループに1打差5位からスタート。17番のティーイングエリアに立った時点では、同組の桑木に2打差をつけられていたが、決してあきらめなかった。

「優勝するには連続バーディしかないとキャディさんと話したんです。ピンをデッドに狙っていって、バーディが取れるようなマネジメントをしました」

言葉通りに17番は第2打でカップをかすめて10センチに止まるスーパーショットを披露してバーディ。18番も第2打をピン左80センチに乗せて桑木に追いつき、決着をプレーオフに持ち込んだ。

緩やかな右ドッグレッグで364ヤードの18番パー4を使ったプレーオフでは、自慢の飛距離でアドバンテージを奪った。両者パーで分けた1ホール目も、勝負を決めた2ホール目もドライバーを迷いなく振り抜いた。

ボールは260ヤード先の右サイドにあるバンカーを楽々クリアすると、その先の下り傾斜に落ちて勢いを増し、フェアウェイをどこまでも転がった。

2ホール目の残りはピンまでわずか80ヤード。これをウェッジでコントロールして奥3メートルに乗せた。

「右のバンカーは気になったけど、悔いのないよう振るしかないと思った。しっかり振り抜いていけました」

櫻井の武器は圧倒的な飛距離! ドライビングディスタンスは現在5位

画像: 長崎出身の櫻井と岡山出身の桑木がプレーオフを戦い、1学年下の櫻井が優勝。"03世代"の優勝は4人目(撮影/姉崎正)

長崎出身の櫻井と岡山出身の桑木がプレーオフを戦い、1学年下の櫻井が優勝。"03世代"の優勝は4人目(撮影/姉崎正)

櫻井は長崎県出身。6歳でゴルフを始め、一昨年11月のプロテストに合格。

昨年は主戦場が下部のステップ・アップ・ツアーだったが、2度の2週連続を含む史上最多5勝を挙げて、同ツアー賞金女王に輝いた。

今季はその資格でレギュラーツアーに参戦し、18戦目で頂点に立った。

「プレーオフは心臓の音が聞こえちゃうくらいバクバクしていたけど、そこは割り切って……。(ステップ・アップ・ツアーでの)優勝争いの経験を生かして、落ち着いてできたかなと思う。レギュラーの優勝はステップとは全然違いますね。子供の頃からJLPGAの最高のツアーで4日間大会を勝つのが夢でした。信じられないけど、うれしい」

武器となるのは圧倒的な飛距離。今週の平均ディスタンスは252.875ヤードで川岸史果に次ぐ2位。
今季のスタッツでも254.30ヤードで5位につけている。

中継局の優勝インタビューでは

「側で支えてくれた母、応援に来てくれる父や兄。家族には感謝してもし切れない……」

と話していたところで涙を流す場面もあったが、すぐに大きな夢を口にした。

「将来はアメリカに行って戦うこと、キラキラした世界で戦うことが目標ですから、この優勝は通過点と考えて、もっともっと成長したい」

初優勝で胸を高鳴らせた櫻井と対照的に、プレーオフで惜しくも敗れた桑木はアテストへ向かう途中で声を出して泣いた。

「悔しいです。調子が悪い中でここまで来れたのは褒めたいけど、優勝しないと意味がない」

"03世代"(2003年生まれ)の優勝は、櫻井が川崎春花、尾関彩美悠、神谷そらに続き4人目で、1学年上の世代は岩井ツインズがトッププロの仲間入りを果たした。

未勝利組でも桑木をはじめ、佐久間朱莉、竹田麗央、菅沼菜々、佐藤心結といった実力者がひしめいている。

今季の国内女子ツアーは残り20試合。櫻井に続いて、次はどんな新星が飛び出すのか、女子の熱い戦いから目が離せない。

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