GD(ゴルフダイジェスト誌) プロ1年目の今年、『ステップ・アップ・ツアー』で圧倒的な強さで賞金女王に輝き、おめでとうございます。
櫻井 ありがとうございます。でも、レギュラーツアーでは活躍していないですから……。
GD 昨年まで高校生、それも在学中にプロテスト合格だけでもすごいと思いますが、この活躍は想像できていましたか。
櫻井 想像というよりQTを失敗して、今年はとにかくステップ・アップ・ツアーでやり切るしかないという気持ちで戦っていました。でも、プロ同期で同学年の川﨑春花ちゃんや尾関美彩悠ちゃんたちは、もうレギュラーツアーで優勝していますし、私はまだまだです。
GD ご自身のゴルフについてですが、一番の武器はなんだと思いますか。
櫻井 やっぱり飛距離ですね、ドライバーの。気持ちよく振り切れているときはいいですが、調子が悪くなるとヘッドの走りが悪くなるので、これは修正していかないといけないポイントですね。
GD ヘッドを走らせるために、やっていることはありますか。
櫻井 いろいろありますよ。アドレスを工夫したり、ショット前ルーティンやアイアンでの練習など試行錯誤しながら取り組んでいますよ。
GD ヘッドを走らせるために、アドレスを工夫されているとのことですが、具体的には?
櫻井 ドライバーだけですけど、ヘッドをボールから離して構えています。インパクトで上体の突っ込みがなくなるのでヘッドを加速させやすいんです。
GD どれくらい離すんですか。
櫻井 体の中心くらいまでです。ヘッド軌道の最下点が体の中心なので。ドライバーはティーアップしているから、ヘッドを上昇させてインパクトするイメージを持ったほうが振り抜きがよくなります。あと、ほんの少しフェースを閉じてインパクトするイメージも湧くので、ボールをつかまえられるのも飛距離が出せる要因だと思います。
GD ヘッドを走らせるために、ショット前のルーティンも工夫されているとのことですが。
櫻井 これもドライバーショットを打つ前にやっていることなのですが、片足を上げながら左右に思い切り体重を乗せて、トップからフィニッシュまで風を切り裂く音が鳴るくらい、思い切り振り抜いてから打つようにしています。
GD 素振りでそんなに思い切り振るんですか。
櫻井 振り切ったほうがヘッドに遠心力が働いて、飛距離はもちろんですが、小手先でヘッドを操作しないので方向性もよくなります。
GD だからフォローが大きいんですね。
櫻井 フォローでヘッドが勝手に体に巻きつく動きになりますし、インパクトで手元が浮きにくくもなるので強くボールを押し込みやすいです。
GD 飛距離を伸ばすためにやっている練習があるそうですね。
櫻井 7番アイアンで低く強い弾道で飛ばすパンチショットの練習を取り入れています。これをやっていると、インパクトでボールを強く押し込む感覚が身に付いてきます。でも、インパクトで上体が突っ込んでしまい、逆にヘッドが走らなくなる危険性もあるので、小手先で振るのではなく、体の回転で振るように注意しています。
23年は飛距離を武器にレギュラーツアーで勝てるようがんばります!
さくらい・ここな 2004年2月13日生まれの18歳。166センチ、O型。長崎県出身。長崎日大高等学校3年時の21年、プロテストに合格。同期で同学年のプロには川崎春花や尾関彩美悠などがいる。QTに失敗し今季は下部ツアーのステップ・アップ・ツアーを主戦場として戦い、新記録となる年間5勝を挙げた。ステップ・アップ・ツアーの賞金女王となり、来季のレギュラーツアーの前半戦出場権を獲得
※週刊ゴルフダイジェスト2022年12月20日号「謎の18歳 櫻井心那」より一部抜粋