
畑岡は右ルートと左ルートを使い分けて戦う。最終日はどちらのルートで悲願のメジャー優勝をめざすのか
木の左ルート、右ルートで攻略法が変わる
18番のティーイングエリアに立ち、フェアウェイ方向を見ると、フェアウェイの真ん中にターゲットになる木が見える。この木は、後方の524ヤードのティーから257ヤード、前方の515ヤードからだと245ヤードの距離だ。このターゲットの木の左に打つか、右に打つかで攻略ルートが変わる。
木の左ルートは海が近く、ちょっと引っかかると太平洋の餌食になってしまう。木の右ルートは、木の近くに止まってしまうと、2打目で木が邪魔になる。また、右に逃げすぎると、グリーンまでの距離が遠くなってしまう。

約250ヤード先にターゲットとなる木が見える。木の左へ打つには海越えは必須。プロにとってはたやすいはずだが、ペブルビーチの気紛れな風が吹くと、難度とプレッシャーが増す
7月8日、全米女子オープンの決勝ラウンドに進んだ全選手74名の第一打をウォッチングした。この日のペブルビーチは、それまでとは打って変わって風が強く、時計の針でいうところの11時あたりから強烈なアゲンストの風が吹いていた。
結果は下記の表の通り。74名のうちのほぼ半数の34名が木の左サイドのベストポジションから第2打を打っていた。ボールを左に引っかけて、海(岩場)に入れたプレーヤーが7人、2打目で木が邪魔になり、枝の下を通す低い球を打っていたプレーヤーも7人、さらにフェアウェイを突き抜け、右サイドのバンカーにつかまるプレーヤーが7人いた。安全な木の右ルートから打つプレーヤーは19人いた。決勝ラウンドに進んだ調子のいいプレーヤーのはずだが、一割近くの7人が海の餌食になるとは驚きだ。
3日目を終えた上位3人の18番のショットを振り返ると、単独首位に立つ畑岡奈紗は、初日の18番は左ルートへ飛距離255ヤード、2日目はドライバーを使わず右ルートへ飛距離193ヤード、3日目は強烈なアゲンストの風が吹く中、ドライバーで左ルートへ197ヤード地点へと運んだ。
2位につけるアリセン・コープスは3日間とも図ったように左ルートへボールを運び、初日にバーディを奪っている。3位タイにつけるキム・ヒョージュは、初日と2日目にターゲットツリーの後ろにボールが行ってしまい、3日目はドライバーで第2打を打つテクニックも披露していた。最終日の18番ではどんなドラマが起きるのだろうか?
7月8日土曜(3日目)決勝ラウンドに進んだ74名の18番ティーショット結果
●木の左へ打った 19名 (DR15名、FW3名、UT1名)
●木の右へ打った 34名 (DR32名、FW1名、UT1名)
●木の後ろへ行った 7名
●右サイドのバンカーに入った 7名
●左の海に落とした 7名
※編集部調べ

キム・ヒョージュは、3日目、18番の第2打で直ドラを披露。ターゲットツリーの枝に当たらないように超低弾道を打つ
PHOTO/Yashiro JJ Tanabe