女子メジャーで最も歴史がある全米女子オープン。今年で78回目を迎えるが、全米女子オープン史上、初めてペブルビーチゴルフリンクスが舞台となる。過去に全米オープンを6回も開催している美しくも難しいコースに、日本人選手22名が挑む。注目ホールをレックス倉本プロが解説してくれた。

7番パー3。わずか107Yだが、ひとたび強い海風が吹けば男子でも3番アイアンが必要

画像: ペブルビーチGLの7番ホールは太平洋に突き出た107Yの名物パー3だ

ペブルビーチGLの7番ホールは太平洋に突き出た107Yの名物パー3だ

過去7回のメジャーだけでなく、1937年にビング・クロスビープロアマとしてスタートしたAT&Tペブルビーチプロアマの舞台に毎年なってきたペブルビーチGL。PGAツアーの取材で何度も現地に足を運んできたレックス倉本は、コース自体はそれほど難しくはないと証言する。

「美しい海岸線沿いのホールから、内陸の林間部と、ホールによって見え方が変わってきますが、全体的にフェアウェイが広くグリーンは小さい。ただし、コースの形状自体はトーナメントが行われるゴルフ場のなかでは、それほど難度が高いものではありません。しかし、風が吹くと表情が一変します。

とくに影響を受けるのが海にグリーンが突き出た7番のパー3。打ち下ろしで107ヤードと18ホールで一番短く、通常であればアマチュアでもウェッジを握るはずです。しかし、海からの強烈な向かい風が吹くことが多く、そうなると男子プロでもロングアイアンかウッドを握る選手が出てきます。

かつてジャック・ニクラスは3番アイアンでこのホールを攻めたほど。さらに、風が右から吹けば、右サイドの海に向かってボールを打ち出す必要があり、風を読んだうえでのクラブ選択が求められます。そのうえで海とバンカーに囲まれた小さなグリーンを狙うのですから、相当な技術と勇気が必要です。

少しでも風の読みを間違えれば、ボールはたちまち海へとのみ込まれていく恐怖と闘いながら、どれだけ自信を持って打てるか。7月開催ということでAT&Tペブルビーチプロアマが行われる2月よりも、気候的にはだいぶ穏やかになると思いますが、それでも時間帯によって選択するクラブが大きく変わるはずです。穏やかなときと風が吹いたときで選手の攻め方が変化するところに注目すると、いかにタフなコースかが分かると思います」(倉本)

8番パー4。「生涯最後のショットをするなら迷わず8番のセカンドを選ぶだろう」byジャック・ニクラス

画像: ティーショットをいいポジションに置ければ、セカンドショットが断崖越えになる394Yの8番パー4

ティーショットをいいポジションに置ければ、セカンドショットが断崖越えになる394Yの8番パー4

数々のドラマを生んできたペブルビーチGL。そのなかでも帝王ジャック・ニクラスが愛してやまないのが、8番ホールのセカンドショットだ。

「8番はティーショットをフェアウェイのいいポジションに置くことができれば、セカンドショットが断崖越えになるホールです。ただし、2打目地点のライは左足下がりになります。残りの距離も女子であればUTを選択する選手も多くなると思いますが、大きめのクラブでグリーンをとらえてしっかりと止められる技術が求められる。

そのあたりが上手な選手は、きっと上位に来ることでしょう。畑岡奈紗選手はもちろんのこと、先日の全米女子プロで活躍した笹生優花選手もアイアンのキレ味は抜群。さらに古江彩佳選手はUTやFWなど大きい番手が上手く、飛距離がないなかでアメリカでも堂々とした成績を残しています。そのほかの日本人選手にもアイアン巧者が多いので、期待できると思います」(倉本)。

今年2月のAT&Tペブルビーチプロアマ開催前に8番グリーンがリニューアルされ、新たなピン位置が切れるようになった。これによりセカンドショットでグリーンを狙うアングルなどが多様化し、より一層難度が上がっている。また男子よりも距離が短くなる分、
男子選手とは違ったコース戦略に注目してほしい。

18番パー5。グリーンを狙うショットが肝。ボールストライキング巧者が有利

画像: 2オン狙いがどれだけ見られるか。527Yの18番パー5

2オン狙いがどれだけ見られるか。527Yの18番パー5

「どこにティーイングエリアを設定するかにもよりますが、18番パー5は2オン狙いができないと面白くないので、女子でも2オンが狙えるようにしてくるでしょう。そうなると、フェアウェイ右サイドの松あたりが2打目地点になるはずなので、男子プロのように左の海岸線ギリギリを狙うことは少なくなると思います。そこからグリーンを狙うのか、レイアップして3打目勝負にするのか、選手は判断を迫られることになるでしょう。どんな攻め方が見られるのか、楽しみです」(倉本)
 
ではどんな選手が有利なのか。
「もちろん飛距離があって、なるべく短い番手でグリーンを狙える選手が有利であることには変わりはありません。しかし、飛距離がなくてもアイアンや長い番手が正確な選手であれば飛距離のハンディを補うことも十分可能なのがペブルビーチGL。日本人選手にも十分活躍できるチャンスはあると思います。

日本人の前に立ちはだかるのは、レキシー・トンプソンやネリー・コルダ、ブルック・ヘンダーソンといった、ボールストライキングの能力が高い選手。ただ、米女子ツアーでペブルビーチGLが試合会場になるのは初めてのことなので、経験によるアドバンテージがないし、風など天候による要因も大きく関係してくるので、正直予想するのが難しい(笑)。

今年は、ローズ・チャン選手がプロ転向後すぐに優勝、また先日の全米女子プロでは中国出身のイン・ルオニン選手が優勝するなど、新世代の選手の活躍が目覚ましい。馬場咲希選手のようなアマチュア選手が優勝することだって可能だと思います」(倉本)

写真/宮本卓

※週刊ゴルフダイジェスト2023年7月18日号「世界一美しいペブルビーチ」より

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