ボールに線が描かれたアライメントボール。グリーン上で方向性が出しやすいと、使用するプロも多い。また、ラインを自身で描く派もプロ・アマ問わず一定数いる。使っている? 効果はある? 識者やアマチュアゴルファーに聞いてみた。
画像: ライン入りボールやアライメントボール、さまざまなタイプのものがある

ライン入りボールやアライメントボール、さまざまなタイプのものがある

線を引くのも、セットするのも難しい!?

●ライン通りに打ち出せないのでムダだとわかってやめた

僕はアライメントマークの入ったボールは使用していません。一時期使ったこともありますが、そのライン通りに打ち出せないのでムダだとわかってやめました。僕はアウトサイドインの軌道でヘッドが少しカットに入るんです。だからライン通りに真っすぐ転がりません。パター軌道がイン・トゥ・インの人もいるだろうし、パットの名手と謳われた青木功さんのように上からつぶしてカット気味に打つ人もいます。これらの人にはあまり意味がないと思いますね。いわば感覚派には効果は薄いと思います。

タイガー・ウッズのようにインパクトで完全スクエアにフェースが当たる人には、さぞかし効果があるでしょうね。タイガーのボールはそれこそラインがブレずに真っすぐに転がっていきますからね。システマティックに、たとえばパット練習器具を使ってマシン的に打つ人ならぴったしカンカンではないでしょうか(笑)。

アマチュアで初心者などは大いに使えばいいと思います。キャディさんがフックラインと言ったら、矢印を右に向ければいいし、スライスラインなら左に向ける。そうやって自分の軌道を作っていくのです。大いに効果は期待できると思いますよ。(タケ小山、プロゴルファー・テレビ解説者)

●グリーン上でセットするのが難しい

ライン入りボールを使っていたことはあるのですが、グリーン上でセットするのが難しいんです。置いてはみたものの、構えてみると「うん?」となってしまうことがある。でも置き直すのは時間がかかってしまい気が引けるので、違和感を抱えたまま打ったら案の定、思わぬ方向に。心のなかで「ほらー」と思うことがたびたび。以来、無線です。(50代男性、山梨県)

●自分なりに工夫すれば大いに武器になる

方向が取りやすいと思うので、ずっと使ってきました。ところが矢印を真っすぐにセットしても、アドレスしてからパットラインを見ると、僕の目では左にズレるんです。後ろから見るとカップの真ん中が真っすぐでも、真上から見ると、カップの真ん中ではなく左縁になるんです。眼科の医師に聞いたら、目には”クセ”があると言うんです。万人が万人真っすぐが真っすぐに見えるわけではないらしいですよ。だからか、短い線を両側に、真ん中に長い線を引く3本ラインだと、幅があるので修正できるように感じます。僕がフックラインが好きなのは、このせいかもと思っています。真っすぐなラインが左サイドに見えるからフックラインだと強めに打てるんです。

「グリーンの魔術師」と言われた故杉原輝雄さんはフェースは左に向けてインパクトで少し開いて当てるんです。その開き方が寸分たがわず同じなんです。杉原さんは真っすぐなラインが、右サイド側に見えていたのではないでしょうか。フックラインの入れ方が絶妙でしたね。このライン入りボール、アマチュアの皆さんには薦めます。アドレスで「真っすぐ立って」と言うと右を向く人が多い。もしボールに真っすぐなラインが引いてあれば、その通りに立てばいいわけですから。この人たちは、最初は「こんなに右を向いてたのか」と驚きますね。自分なりに工夫すれば大いに武器になると思います。ぼくはラインではなくて神仏頼みで、南無妙法蓮華経とプリントしようかなと思っているんですが(笑)。(高橋五月、プロゴルファー)

●真っすぐラインを引いて塗るのが意外に難しい

某男子プロがボールの半分を黒く塗って、練習グリーン上で回転をチェックしているのを見かけました。なるほど見やすい。真似しようかと思ったんですが、真っすぐラインを引いて塗るのが意外に難しく、しかも面倒なので断念。(70代男性、千葉県)

画像: 「タイガー・ウッズのようにインパクトで完全スクエアにフェースが当たる人には、効果がある。タイガーのボールはブレずに真っすぐに転がっていきますから」(タケ小山氏)と、アライメントボールに合う打ち方がある!?

「タイガー・ウッズのようにインパクトで完全スクエアにフェースが当たる人には、効果がある。タイガーのボールはブレずに真っすぐに転がっていきますから」(タケ小山氏)と、アライメントボールに合う打ち方がある!?

●タイガーもパット練習でラインを入れたボールを使っていた

僕もチャレンジしたことはあるんですよ。ただ、あのラインがあると便利だと思う人もいるかもしれませんが、感性を大事にする人にとっては邪魔と思う人もいるのではないですかね。僕自身もラインが気になるタイプ。ないほうが無心になれる気がしていいと思っています。強気にライン通りに打てている時はいいんですが、弱気になってる時はどれくらい膨らましたらいいんだろうと、余計なことも背負い込まなければならなくなるんですよ。

とはいえ、ライン入りを否定するわけじゃないです。困っている時には助けになると思いますし、初心者にもいいかもしれません。僕が米国に住んでいる頃、タイガーも同じ敷地のコースで練習をしていましたが、パット練習の時にはラインを入れたボールを使っていました。ただ、そのラインも真上から見ると右サイドに入れていて、ボールの左側は白い部分が多かったですね。これは多分、アッパーブローにフェースを入れて順回転させようという意図だったと思いますが。まだタイガーも若かったし、いろいろ試していたと思います。(水巻善典、プロゴルファー)

●女子プロの”セット”が凄かった

友人の話ですが、彼女が女子トーナメントのプロアマに出た際のこと。とある女子プロがグリーン上で「私がボールを置きます」と申し出てくれて、セット後「そのまま打って」と言われ、言われた通りに”そのまま”打ったら入ったそうです。(50代女性、東京都)

●僕は方向付けより、ボールのスピードを気にするタイプ

全然、やったこともないし、やろうとも思わないです。オウンネームやボールのロゴマークを合わせて気を静めたことはありますが、矢印やラインを引いてそれにアドレスを合わせるなどはこれからも全くやる気はありません。僕は方向付けより、ボールのスピードを気にするタイプなんで、方向だけに気を向かせることはしません。僕はおまじないじゃないかと思いますね。一度合わせて入ったから、お守りみたいな感じで……。しかし、そうすることで気持ちが落ち着くなら、パッティングのルーティンとして取り入れればいいと思います。(髙橋勝成、プロゴルファー)

※週刊ゴルフダイジェスト2023年7月11日号「山を動かす~アライメントボール使っている?」より

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